命を守る自転車のヘルメット カバー取り替えられる「カジュアルヘルメット」も人気 着用努力義務から半年で着用率は

自転車のヘルメット着用は今年4月から努力義務化されています。着用する重要性や最新のヘルメット事情について取材しました。

「自転車に乗る際のヘルメットの着用が努力義務になりましたので、ぜひ着用してください」。通行人に声を声をかけるのは、プロの自転車ロードチームの選手です。そして、“交通事故なし”にかけて、ナシも配りました。

啓発チラシとともに果物のナシを配布。広島県警はイベントなどを通じて、ヘルメットの着用を懸命に呼びかけています。

ヴィクトワール広島 中村圭佑選手
「普段、公道で練習しているボクらがヘルメットを被ったり啓発活動をしたりすることで、一般の人たちがヘルメットを被りやすくなるような活動ができたら」

広島県内では、自転車の死亡事故が相次いでいます。世羅町では9月26日、自転車と軽乗用車が衝突する事故があり、自転車に乗っていた70歳の男性が死亡。また10月12日には、広島市佐伯区で自転車に乗っていた47歳の男性が転倒し、死亡しました。

警察によりますと、2人とも頭を強く打って亡くなりましたが、ヘルメットは被っていなかったとみられています。

警察庁が7月に行った調査によりますと、自転車のヘルメット着用率は広島県で6.6%。全国平均の13.5%の半分以下で、全国47都道府県で38位となっています。

ヘルメットの着用が努力義務となったのに、なぜ着用率が低いのか? 街の人に聞いてみました。

街の人
「子どもには被らせているが、自分には着けていなかった」
「孫には被らせているけど、自分は被っていない。」

広島中央警察署交通第一課 村岡洋子課長
「うちにも高校生の娘がいるが、娘や友だちも髪型を気にして被らないという話も聞いているの。たしかに気になるところだと思うが、命の方が大事だと思って被っていっていただきたいと思う」

9月28日に行われたイベントでは、実際に事故の衝撃で割れたヘルメットも紹介されました。

ワイズロード・フジグラン広島 寺尾章洋さん
「自転車でこけてですね、右側に倒れて右後頭部をアスファルトに強打されたという事例です。ヘルメットが割れています。ヘルメットがなかったら、実際、自身の頭が割れちゃってる可能性がある」

ヘルメットを被っていたため、無事だったということです。

警察庁の調べでは去年までの5年間で、自転車に乗っているときに亡くなった人のうち、半数以上が頭を強く打ったことによるもの…。ヘルメットを着用していない時の致死率は着用している時に比べて2倍以上高くなっています。

ヴィクトワール広島 宮崎健太選手
「レース中に転倒して頭を打って着用していたヘルメットが割れたことがある。自転車の車体も割れてしまうほどの事故だったが、ヘルメットを着用していたおかげで脳には全くダメージがなく、たんこぶ程度で済んだ」

命を守る効果が実証されているヘルメット。自転車専門店の人に正しい着用方法について聞きました。

ワイズロード・フジグラン広島 木谷洋美副店長
「後ろにアジャスターがついてますので、これをまず目いっぱい左に回してください。この部分が広がった状態から頭に被っていただくんですけども」

かぶる位置は、ヘルメットの先端が眉毛の位置から指一本空いたぐらいの位置です。被った状態でアジャスターを回し、頭を固定します。このとき、頭を振ってみてヘルメットがずれなければ大丈夫です。

木谷副店長
「あごひもなんですけれども、こちら、あごにぴたっとくっつける方が多いんですが、くっつけちゃうとストレスになってしまうので、指が縦2本分入るくらいがちょうどいいと思います」

最新のヘルメット事情についても紹介してもらいました。

木谷副店長
「(スポーツバイク専門店ということもあり)いままではあまりカジュアルヘルメットを置いていなかったが、たくさん要望があり、かなり種類が増えた状態」

「カジュアルヘルメット」は、ヘルメットでありながら見た目は帽子など堅苦しくないデザインとなっています。

実際に記者が被ってみました。

米田健太郎記者
「カジュアルタイプのヘルメットです。ヘルメットの部分はそのままで、カバーの部分を外して取り替えて、デザインを楽しむことができます」

ワイズロード・フジグラン広島 木谷洋美副店長
「スポーツバイクヘルメットは『ガチガチ系に見えてしまうから』とイヤがる人も多かったので、丸っこいナチュラルなデザインがいいという人も多いです」

1万円前後の安い価格帯のカジュアルヘルメットが人気だということです。また、ヘルメットを外したときの「ボサボサ感」を抑えるため、ヘルメットの下に被る「サイクルキャップ」というものも販売されています。

ヘルメットの着用に力を入れている学校もあります。安田女子高校では4月の努力義務化に合わせて登下校で自転車に乗る時のヘルメット着用を校則に取り入れました。

県内の中学校ではこうした校則は以前からありますが、高校では珍しいということです。

安田女子高校では「学校が広島市中心部にあり、事故の危険性が高いので、生徒の安全のために校則に取り入れた」と話しています。

© 株式会社中国放送