大分市、生成AIの業務活用手引を作成 全職員に配布「発展的な使い方を」【大分県】

生成AI活用の手引を紹介する大分市職員
大分市の生成AI活用の手引。精度の高い回答を得るための方法などをまとめた

 【大分】大分市は、質問に応じて文章などを自動で作る生成AI(人工知能)を業務に活用するための手引を作った。精度の高い回答を得る方法や使用上の注意をまとめた。生成AIを「業務の効率化や新たなアイデアの創出、負担軽減に役立つ技術」と評価し、積極的な利用を促す。

 9月28日に全職員に配布した。「あいさつ文の作成」「研修会の進め方のアイデア出し」など具体例を挙げ、生成AIに指示(質問)する際のポイントや、AIからの回答例を載せている。

 説明会の案内文を作るケースでは、「立場や目的、対象などを指定して質問をすると精度を高めやすい」と助言する。1回目の回答で得た文章に対して「指定の文字数で要約する」など条件を絞り込み、希望する回答に近づける方法を伝えている。

 市によると、7~8月にかけて、関連部署の職員32人によるチームをつくり、機能や会話形式などが異なる「チャットGPT」「ビングAI」など複数の生成AIのサービスを検証した。基本的な操作方法を学んだ上で、精度の高い回答を得られる質問や活用が見込める市の業務を調べた。

 手引に使った文章や画像は実際にチャットGPTなどを用いて作った。「注意点の羅列だけで終わらず、発展的な使い方ができるような内容を目指した」(情報政策課)という。

 生成AIは使用に際し、▽既存の著作物に類似した生成物を利用することによる著作権侵害▽入力した個人情報の流出―などのリスクがある。生成物の内容が不正確な場合もあり、利用には慎重さも求められる。市の手引ではこうした注意点も伝えている。

 市は手引を市ホームページで公開している。31日には職員向けの研修会で活用するという。情報政策課は「正しく扱えば、新しい観点を与えてくれる技術。有効に使っていきたい」と話した。

     

<メモ>

 生成AIは膨大なデータを学習し、利用者の求める文章や画像、音声などを作る。米大手IT企業が開発し、既存ソフトと連携したサービスにも力を入れている。県内でも複数自治体が業務・サービスへの活用に向けて調査研究している。

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