市議会議場に平和の音 山形で被爆ピアノ演奏会始まる

被爆ピアノによる平和の音色が響き渡った演奏会=山形市議会議場

 78年前、原爆が投下された広島で焼失を免れた「被爆ピアノ」の演奏会が20日、山形市を皮切りに始まった。初日は会場として全国で初めて市議会議場で開かれ、市民ら約100人が平和の調べに耳を傾けた。

 今回使用されたのは、爆心地から1.8キロ離れた場所で被爆したアップライトピアノ。広島市出身の調律師で被爆2世の矢川光則さんが修復し、外観はほぼ被爆当時のままという。

 照明を落とし幻想的な雰囲気の中、天童市のピアニスト近藤阿由良(あゆら)さんが「アヴェ・マリア」(カッチーニ作)「戦場のメリークリスマス」(坂本龍一作)など9曲を演奏。家族と訪れた山形市菅沢、伊藤保明さん(63)は「議場の重厚な雰囲気と相まって、平和の尊さを改めて実感した」と感動を口にした。

 議場での演奏会は、市議会が1984(昭和59)年3月に全国に先駆けて平和都市宣言を議決したことを受け実現。29日まで県内各地で開催される。

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