初優勝で歓喜の宙返りを披露したザルコ「今日は特別なことができると思ったんだ」/決勝トップ3コメント

 10月21日、2023MotoGP第16戦オーストラリアGPの決勝レースがフィリップ・アイランド・サーキットで行われ、優勝したヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)、2位のフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、3位のファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)が会見に出席。最終ラップで激しいバトルとなったレースを振り返った。

■ヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)/決勝:優勝

「すごくいい気分だよ。いつも攻めてこの感じをつかもうとするけど、ほかのライダーがペースやこの感覚を持っていることもある。それをとらえない限り、優勝はできないみたいだ。3年前のペコ(フランセスコ・バニャイア)がそうしていたように、彼はドゥカティで多くの勝利を挙げてきた。ホルヘ(・マルティン)は予選ですごいことをやってのけ、レースではコントロールできている」

「でも、今回は特別なレースだったね。リヤにミディアムタイヤを選択したことが重要だったと思う。ホルヘが引き離していくのを見たときは、少なくとも表彰台争い、2位争いをしようと思っていた。そう簡単にいかないけど、可能だとわかっていたんだ。そして残り5周、ホルヘのペースがかなり落ちてきた。それで、『きっと、今日は特別なことができる』と思ったんだ。それができてすごくうれしいよ」

「土曜日にロングレースを行うのは特別な気持ちだったよ。日曜日よりもちょっと新鮮な気持ちだったかもしれない。今夜はよく眠れるだろうね。フィリップ・アイランドで、ドライコンディションでの優勝は本当にうれしいんだ。みんな、このサーキットが大好きだからね」

「残り2周か最終ラップでホルヘの後ろにつこう、と考えていたので、リヤタイヤをかなりコントロールして走っていた。最終ラップでは、自分が得意とする加速でとらえたかったんだ。レースの早い段階ではそれはできなかった。タイヤを使いすぎてしまうからだ。かなり頑張ってペースをキープしていたよ。適切なタイミングで作戦がうまくいってうれしい。残り5周から最終ラップで、ホルヘをとらえられるとわかっていたんだ。それでほかのライダーをオーバーテイクしていった」

「僕としては6コーナーの立ち上がりでホルヘをオーバーテイクできると思っていたけど、4コーナーで仕掛けずにいたら、ほかのライダーにパスされていたかもしれない。彼らにアタックされないように、自分がアタックすることが重要だった」

「ヘルメットの中で(感情を)爆発させていたのかと聞くジャーナリストもいた。叫んだのかどうか、とね。でもね、僕はあの瞬間、何もかもできるような、そんな気になっていたんだよ。それから感情がやってきた。すべてのライダーからじゃないけど、多くのライダーからのお祝いももらって、すごくうれしかったんだ。ヘルメットのシールドを上げて彼らの目を見たら、僕のことをすごく喜んでくれているとわかった。本当に素晴らしい気持ちだったよ」

「フィニッシュラインを通過したときには後方宙返りするなんて考えていなかったんだよね。でも数コーナーを走っていたら『やらないとな』って思ったんだ。『できないほど疲れているわけじゃないから、やろう』って。着地が完ぺきじゃなかったけど……手をついてしまったから。でもまあ、ちゃんと足で着地できたからね!」

最終ラップはザルコ(#5)とマルティン(#89)によるバトルもあった

■フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)/決勝:2位

「間違いなくすごく長くてタフな1日だった。昨日はミディアムタイヤを使いすぎてQ2へのダイレクト進出を逃してしまった。今年は昨年よりもグリップレベルが低く、パフォーマンスが高かったんだ。ミディアムではレースで苦しむだろうとわかっていたけど、今朝、フィーリングを改善して、うまくマネージメントができたと思う。フロントロウからのスタートはすごく大事だったので、予選では3番手を獲得することができた」

「(ブラッド・)ビンダーが差を広げていくのを見て、ちょっと心配したよ。ただ、ホルヘがそこから差を広げられていなかったので、彼に追い付く、と思ったんだ。もうちょっと早く追い付けると思っていたんだけど、最終ラップでとらえたんだ」

「ホルヘはソフトでレースに臨める唯一のライダーだったと思う。昨日、かなりの周回を走っていてすごく速かったからね。ただ、その限界は19周だったと思う。そこからはまったく違うレースになった。スタートで築かれた差は、十分なマージンではないとわかった」

「ただ、レース中、僕はかなりリヤタイヤに注意を払っていた。これが正しいタイヤ選択だとわかっていた。そして、ブラッドとファビオ(ディ・ジャンアントニオ)がバトルになるだろうともね。正しいタイヤ選択だったし、作戦だったと思う。最終ラップはジョアンに追い付くにはちょっと足りなかったけど、今日はトラクションがとてもいい状況だったからね。彼は優勝にふさわしいと思うよ」

「(チャンピオンシップでは)地に足をつけていれば、物事がどう変わるのか、ちゃんとわかるんだ。バルセロナ(カタルーニャGP)前までは、(チャンピオンシップで、マルティンと)62ポイントの差があったけど、すぐにその差はなくなった。マンダリカ(インドネシアGP)のような週末を過ごすことが大事なことなんだ。速いときも苦しんでいるときも、常にトップでいられるようにしないとね」

■ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)/決勝:3位

「長いレースだった。僕たちは土曜日に長いレースをするには慣れていないわけだし……。まあとにかく、心から楽しいレースだったよ。スタートはすごくうまくいって、序盤から速く走れていた。同時に、リヤタイヤをマネージメントもしていたけど、攻めてもいたんだ」

「それからブラッドをとらえ、オーバーテイクした。ギャップを築こうと考えたけど、できなかった。ちょっと風があって、前に出て走ると攻めるのが難しいんだ。でも、この週末ずっと速く走れていたし、レースではコンスタントだった。残り7周以降を除いてね。みんな、タイヤがかなりたれていた。最終ラップは何度もオーバーテイクがあって、優勝の可能性も少しはあった。すごく、楽しかったよ」

「(最終ラップの)4コーナーではすごく強く走れていたので、そこでペコをオーバーテイクしたかった。でも、ペコは3コーナーがとてもうまくて、4コーナーでは少しのギャップがあった。『今行くにはちょっとタイトすぎるな……彼はチャンピオン争いをしているんだし……。みんなの安全のために、ちょっと引こう』って考えたよ(笑)。そのあとまだ、ホルヘをオーバーテイクするチャンスはあるとわかっていたからね」

「側にいるたくさんの人たちとの映像を見るのは素晴らしいね。すごくうれしい。僕のスタッフ、チームとのチームワークの結果だ。一緒に素晴らしい仕事をした。そして、この結果を達成したんだ。感情が爆発したよ」

「(2024年の去就について)つまり、運がよくないときでも正しい場所に、正しいとき、いる必要があるということだ。あっという間に起こったことで、マルク(・マルケス)のことやすべての物事があって、おそらくちょっと耐える必要がある。そのことがなかったら、もう少し楽に物事が進んだかもしれない」

「僕はMotoGPクラス2年目のライダーだ。もちろん、MotoGPではキャリアの最初から素晴らしい結果を出すものだけど、時間が必要なこともある。『ローマは一日にして成らず』と言うからね。取り組み、理解し、世界でも最高のライダーと戦わなければならない。難しいこともあるけど、信用して取り組んでいかないとね。信じているし、そのために頑張っている。もしかしたら、何か起こるかもしれない」

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