高浜原発の重大事故想定、住民の避難手順を確認 福井県が原子力総合防災訓練 4市町620人参加、ホーバークラフトでの海上搬送も

海上自衛隊のホーバークラフト型揚陸艇「LCAC」を使った住民搬送訓練=10月21日、福井県おおい町の長井浜海水浴場

 関西電力高浜原発での重大事故を想定した福井県の原子力総合防災訓練は10月21日、同原発から30キロ圏に入る住民を対象に広域避難訓練を行った。高浜、おおい、小浜、若狭4市町の約620人が参加し、県内外への避難手順を確認。海上自衛隊のホーバークラフト型揚陸艇「LCAC」による海上搬送を初めて行うなど、多様な避難手段を確認した。

 訓練は京都府北部を震源とする大地震で高浜1号機が緊急停止し、原子炉を冷却する機能が失われた事態を想定した。

 同原発から5キロ圏にかかる高浜町民約240人が、自家用車やバス、陸上自衛隊の大型ヘリなどを使って、敦賀市や県外避難先の兵庫県へ避難。30キロ圏内のおおい、小浜、若狭3市町住民約380人は、越前市や鯖江市などの県内避難先に向かった。避難ルート途中には放射能汚染検査(スクリーニング)会場が設けられ、検査や除染を体験した。

 海自のLCACを使った住民搬送訓練は、地震で道路が寸断されて孤立地域が発生したとの想定で、おおい町の長井浜海水浴場で実施。LCACは全長26メートル、幅14.3メートルで、乗組員を含め最大200人程度を収容できる。沖合に停泊する輸送艦「おおすみ」から出動し、ごう音を響かせながら砂浜に乗り上げると、高浜町民ら36人を乗せ、おおすみまで搬送した。

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 LCACでの避難を体験した同町の男性会社員(65)は「船だと岸壁への接岸が必要だが、これなら砂浜に乗り入れでき、海が多少荒れていても走行できそう。原発事故時はいろいろな避難手段が必要だと思うし、非常に有効」と話した。

 

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