養殖とは香りが全く違う「天然アユ」を地元飲食店へ

盛川産の天然アユの塩焼きを味わう大船渡市内の飲食店関係者

 大船渡市の盛川漁協(佐藤由也組合長、組合員143人)は、盛川で組合員や釣り客が漁獲した天然アユを買い取り、市内飲食店に販売する事業に乗り出す。高級な天然物は市場にほぼ出回らず、一般消費者が口にする機会は少ない。新事業を通じ「盛川産」の魅力度向上を図り、漁協の収益アップも見据える。

 市内の飲食店主ら約20人が17日、今夏に盛川で釣り上げ、冷凍保存していたアユの塩焼きを試食。川底や岩についた良質な藻を食べて育った、キュウリのような天然物の香りと、程よい脂の乗りを確認した。

 同市盛町でそば店を営む千葉武継(たけつぐ)さん(53)は「養殖とは香りが全く違う。塩焼きのほか、うるか(内臓の塩辛)にしてもいいし、すしにもできる」と太鼓判を押し、観光資源としての可能性も見いだした。洋食や中華の店主も、「大きいサイズなら(低温の油で煮た)コンフィにしたい」「素揚げして甘酢あんをかけるなど中華料理にも使える」など提供のイメージを膨らませた。

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