ノンフィクション作家・サザード氏が講演 長崎原爆資料館 「ナガサキ 核戦争後の人生」著者

被爆者が声を上げ続けているのは「長崎を最後の被爆地にという思いがあるからだ」と語るサザード氏=長崎市、長崎原爆資料館

 米国のノンフィクション作家で「ナガサキ 核戦争後の人生」の著者、スーザン・サザード氏が22日、長崎市平野町の長崎原爆資料館で講演した。サザード氏は多くの被爆者が体験を語り、声を上げ続けていることに「共通の目標がある。長崎が最後の被爆地であり続けるためにできる限りの努力を尽くしているのだ」と語った。
 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(同市平野町)が開館20年イベントとして開催。サザード氏は長崎の被爆者で語り部として活動した谷口稜曄(すみてる)さん、吉田勝二さん、堂尾みね子さん、和田耕一さん、永野悦子さんを取材し、著書にまとめた。講演では朗読ボランティア「永遠の会」による著書の朗読も交えながら5人の人生を紹介した。
 サザード氏は世界中に核兵器が配備されている状況を「自分たちの命と環境が長崎や広島よりも大規模に破壊される危機に直面している」と述べ、「核兵器が存在する限り核戦争が何をもたらすのかを知らなくてはならない。被爆者だけが実体験として語ることができ、私たちが核兵器のない平和な世界を心に描き、それを実現しなくてはいけないことを教えてくれる」と語った。
 同祈念館は同日からサザード氏の著書で紹介されている5人に焦点を当てた企画展を始めた。11月1日まで。

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