松原の救護列車を伝える会 朗読劇を披露 郡中生徒「悲惨さ実感」

生徒の前で朗読するメンバー=大村市沖田町、市立郡中

 長崎への原爆投下後、瀕死(ひんし)の被爆者が救援列車で大村市松原地区に運ばれてきた歴史の継承に取り組む「松原の救護列車を伝える会」(田口哲也会長)は17日、地元の市立郡中(松﨑大樹校長、666人)体育館で全校生徒を前に朗読劇を披露した。
 地域住民6人でつくる同会は、松原国民学校(現在の市立松原小)で被爆者の救護に当たった福地勝美さん=2013年に死去=の体験を語り継いでいる。郡中での朗読劇は今年の長崎原爆の日(8月9日)の登校日に実施する予定だったが、台風で休校したため延期していた。
 メンバーはスクリーンに当時の写真などを映し、福地さんや住民役、語りなどに分かれて演じた。原爆投下時に松原でもごう音が響いてきのこ雲が見えたことや、次々に被爆者が運ばれてきたことを伝えた。
 「この子はおかゆも、もう食べきらっさん。どがんもしようもなかです」「いや、頑張って生きとらす」-。ひどいやけどを負った人や、頭に木の棒が貫通した子どもを懸命に治療した様子を伝えるやりとりを、生徒らは熱心に聞き入っていた。
 同校3年の落水奏さんは「大村まで影響があったことは知らなかった。朗読で感情が伝わってきて、戦争の悲惨さを実感した」と語った。田口会長は「大村・松原でも悲劇があったことを伝え、戦争をやってはいけないという気持ちをつないでいきたい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社