県内秋サケ漁、序盤は深刻な状況 過去5年の1%未満

 

 岩手県内の沿岸定置網で今季の秋サケ漁が苦戦している。県によると、序盤となる10日現在の漁獲量はわずか1トンで、過去5年(2018~22年)同期の平均の1%にも満たない。高い海水温が影響しているとみられる。本県の地域経済を支えてきた主要魚種だけに、関係者は最盛期の持ち直しを祈る。

 県漁獲速報によると、定置網などによる沿岸漁獲が前年同期比94.4%減の1トン。過去5年同期の平均(159.5トン)と比べると99.3%減と深刻な状況だ。採卵用の河川捕獲は1.3トンで、前年同期比88.4%減。1キロ当たりの平均単価は同23.4%減の895円で、水揚げ金額は同95.7%減の95万6987円にとどまる。

 県水産技術センターによると、今季の回帰の主群となる19年級の稚魚放流数は2億匹弱と例年より少ない上、放流時の海水温が高く稚魚が十分に成長しづらい環境だった。適水温は5~13度とされるが、20年春の放流時期は例年より2~5度ほど高かった。

© 株式会社岩手日報社