芝居の喜びかみしめ稽古に熱 コロナ乗り越え12月に節目公演 2010年発足の市民演劇サークル「谺」

本番に向けて稽古に熱が入る谺のメンバーたち(舞鶴市上安)

 京都府舞鶴市の演劇サークル「谺(やまびこ)」が12月2、3の両日、4年ぶりの定期公演を同市浜の市総合文化会館で催す。出演者は久々の本番に向けて、芝居ができる喜びをかみしめながら熱のこもった稽古を重ねている。

 谺は2010年に発足し、現在は市内の20~70代の約10人が所属。樋口一葉やオスカー・ワイルドの小説などを題材にした定期公演を年に1度続けてきたが、感染拡大防止で自粛が続いた新型コロナウイルス禍で19年が最後となっている。

 粕谷美枝子代表(74)はコロナ禍を振り返り「稽古が十分にできず、公演ができなかった」と話す。10回目の節目となる今回の公演では伊藤左千夫の小説「野菊の墓」を上演する予定だったが、メンバーの医療従事者が出演できなくなり、急きょ演目変更を迫られたという。

 今回上演する「駅」は、山あいにある無人駅が舞台。駅のホームに座り続ける老人と立ち寄った若者とのふれ合いを通し、老人の過去が明らかになっていくストーリーだ。

 出演する市職員(31)は「公演でお客さんの姿を見られるのが楽しみ。作品を通して人を信じることの大切さを、谺らしく笑いあり、涙ありで伝えたい」と意気込む。

 演出も手がける粕谷代表は「演技経験ゼロで劇団を始め、ここまで継続してきた。応援していただいているお客さまへの感謝を込めて上演したい」と話す。入場無料。2日は午後7時、3日は午後1時に開演する。

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