「発達障『がい』の子も親も元気に」地域との橋渡し役で奔走、女性の思いとは

子どもたちと一緒に、織物ふすま紙の切れ端を貼り付けてアレンジした壁の前で話す森川さん(木津川市南加茂台)

 「親を元気にすることが子どもへの一番の支援になる。親が諦めたら、子どもはチャンスを逃してしまう」。森川友希さん(38)=京都府木津川市=は、今年5月から発達障害の人と地域企業を職業体験やイベントなどを通してつなぐ「Joint Group」の活動を同市で始めた。

 発達障害のある子とない子が一緒に運動したり、市内で生産されている織物ふすま紙を使って物づくりを体験したり、交流する機会づくりに取り組む。

 「障害の『害』の字は受け入れられない。それぞれの特性は決して、害ではないから」と思いを話す。岩手県出身。23歳で現役を引退するまで、ハンドボール選手として活躍した。結婚を機に木津川市へ。

 小学6年生の長男が2歳の頃、成長の遅れに違和感を抱くようになった。保育士から紹介された相談所で発達障害の可能性を告知された。療育が始まって環境が目まぐるしく変わる中、心がついて行かない。5歳のときに病院で自閉症と知的障害の診断を受けた。

 「長男の進学も就職も、将来を諦めた」と当時を振り返る。小学生になった長男は手が付けられないほど荒れた。そんな頃、発達障害の子どもが日常生活でどんなことに悩んでいるかを親が理解するペアレントトレーニングを受けた。接し方を変えていくと、長男のできることが増えた。

 長男の成長とともに、やりたいことが次々に生まれていく。発達障害の人が得意なことでお金を得て自立できる仕組みをつくるために、地域企業に「心のバリアフリー」を広げたいと考えた。「『発達障がい』の子どもと一緒に買い物をする親の悩みを知ってくれているスーパーが市内に増えていけば、温かな地域になると思う」

 企業と親子を結ぶため何ができるか模索が続く。「知ってくださいと言うのではなく、関わり合いの機会をつくる。理解の深まりが将来の子どもたちの笑顔につながると信じているから」

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