犬はおしっこを1日何回するのが普通? 犬種や年齢による違いや多い・少ないときの病気とは?

犬が1日にするおしっこの適性回数とは?

犬は1日に何回おしっこをするのが普通なのでしょうか。

実は年齢や犬種によって、犬のおしっこの適正回数は異なるのです。毎日するおしっこは重要な健康のバロメーターです。愛犬の適正回数を把握して健康維持に努めましょう。

子犬のおしっこの回数

子犬は膀胱が未成熟なため少量のおしっこを何回かに分けて出します。膀胱が成長途中なので溜められる量に限りがあるのです。

子犬の排泄頻度の目安として「月齢+1」と覚えておきましょう。例えば、生後3か月の子犬は「3+1=4」つまり4時間に1回おしっこをするので、1日24時間だと6回前後おしっこをする計算となります。

生後半年をすぎるとおしっこの回数も落ち着いてくるので、トイレトレーニングを開始するタイミングとなります。

成犬のおしっこの回数

成犬になると膀胱が成熟し、おしっこをしっかり溜めておくことができるので1日の回数は3~5回に落ち着きます。体の器官が発達し、体調的にも一番安定しているので犬の個性もあらわれてきます。

複数の場所で何回もおしっこをしたがる犬もいれば、1か所で大量のおしっこをだす犬もいます。特にオスはマーキングの傾向が強いので、おしっこが出切っても足をあげて排尿のパフォーマンスをすることも多いです。

老犬のおしっこの回数

犬はシニア期になるとおしっこの回数が増えます。膀胱や腎臓などの泌尿器の機能が低下し、摂取する水分量が増えることも一因となります。回数としては1日に5~6回が目安となります。

さらに年齢を重ねるとトイレに間に合わないというトラブルも起こります。シニア期の愛犬に粗相が増えたら、飼い主さんの手助けが必要というサインかもしれません。

小型犬と大型犬のおしっこの回数

おしっこの回数は犬種による違いというよりも、体の大きさが関係しています。

チワワやトイプードルなどの小型犬は大型犬に比べて代謝が高く膀胱が小さいため、おしっこの回数も多くなります。ゴールデンレトリーバーなどの大型犬は、膀胱に溜められるおしっこの量も多いので、1回に出す量が多くなり回数は減ります。

また、寒い時期の方が自然と水を飲む量が減り、おしっこの回数も少なくなる傾向があります。

おしっこが多いときに考えられる病気とは?

とくに暑いわけでも運動をしたわけでもないのに、愛犬が水を飲みたがる、またはおしっこの回数が多いと感じたときに考えられる病気は以下の通りです。

糖尿病

膵臓から分泌されるインスリンが十分に機能しなくなり引き起こされる病気です。

食欲増進や体重減少というような症状のほか、水を多く飲みおしっこの回数が増えるという特徴があります。

また、白内障や糖尿病性腎不全などの合併症が起こることもあります。

クッシング症候群

クッシング症候群は、副腎から分泌されるコルチゾールの過剰分泌により発症します。犬では比較的よくみられる病気です。

多飲多尿のほか、食欲増進やお腹が張る、というような症状があらわれます。

腎臓病

腎機能が低下すると、どんどん尿がでてしまう多尿となり、その結果として多飲となります。慢性腎不全の初期症状として、この多飲多尿が多くあらわれます。進行すると食欲低下、体重減少や嘔吐などが頻発します。

おしっこが少ないときに考えられる病気とは?

たくさん水を飲んでいるのにおしっこの回数が少ない、もしくは水自体あまり飲まない、そんな様子のときは以下の病気の可能性があります。

尿路結石症

尿路結石症は腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる病気で、オスによくみられます。

細菌感染やストレス、食事の変化で発症するほか、飲水量が減ることで結石ができやすくなります。結石が大きくなると手術で取り除く必要が出てきます。

膀胱炎

何らかの原因により膀胱が炎症を起こすと膀胱炎となります。細菌感染や結石、ストレスや腫瘍などさまざまな原因により発症します。

トイレを我慢することにより膀胱炎となることもあるので、トイレ環境を整えてあげることも大切です。

椎間板ヘルニア

コーギーやダックスフンドなど胴が長く足が短い犬種に遺伝的に多くみられる病気です。

椎間板が変形し神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こし、自力でおしっこをすることが難しくなります。進行すると膀胱炎や尿毒症になることもあるので注意が必要です。

まとめ

愛犬のおしっこの適正回数を知ることで、体調不調等の普段と違う様子に気づきやすくなります。

いままでは生理現象なので特に注意を払っていなかったかもしれませんが、注意していると病気の早期発見のサインに気付けるかもしれません。

おしっこを我慢させない、トイレ環境を整える、など、愛犬がストレスなく排泄できるよう手助けしてあげましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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