2年前“緊急事態宣言”下で問題になった“密フェス ”が名称変えて復活?「今後は使用禁止」と激怒していた大村知事は

2年余り前に、愛知県の施設で行われた“野外音楽フェス”で、新型コロナの感染対策上ルール違反があり、当時、大村秀章知事が主催者に「もう会場は貸さない」と激怒しました。

その会場で10月22日、同様のフェスが行われました。

(上空から荘司和也カメラマン 10月22日)
「愛知県国際展示場です。ヒップホップの野外フェスが行われていて、多くの客が集まり、盛り上がっています」

22日、愛知県常滑市にある愛知県国際展示場で行われた野外音楽フェス、「ASIAN HIPHOP CONNECTION “AH1”(エー・エイチ・ワン)」。

(観客)
「私たちは(コロナが5類になって)『イエーイ!うれしい』と。正々堂々来られるじゃないですか」
「うれしい。マスクせずに盛り上がれて良かった」
「体力切れずに全員ぶち上がっているのが続いていてスゴい」

多くの有名アーティストが出演し、全国からファンが詰めかけました。

(高阪一世記者)
「コロナが5類になっておよそ半年。野外音楽フェスもコロナ前の賑わいがもどっています」

ここ愛知県国際展示場といえば、おととし8月のことでした。

2年前は”密フェス” クラスター発生で40人以上の感染者が…

(上空から荘司カメラマン おととし8月)
「ステージ前は人が集まって、密集状態になっています」

野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI(なみものがたり)2021」に8000人以上が来場。

(長谷川琢也記者)
「ハイボールとレモンサワーという文字が書かれています。お酒を販売しています」

この時、愛知県にはコロナ禍で緊急事態宣言が発令されていて、県からの自粛要請があった中で、イベントで酒類が提供されました。

知事「この事業者のコンサートはやめていただく 許可しない」

観客は密状態に…クラスターも起き、40人以上の感染者が出ました。このイベントには、経済産業省から開催支援の補助金3000万円が交付される予定でしたが、感染対策が不十分だったとして、その決定が取り消されたという経緯があります。この時、愛知県の大村秀章知事は…

(愛知県・大村秀章知事 県の公式YouTubeより おととし8月)
「再三、指導、指導、強く要請をしたことについて守られていない。極めて問題であり遺憾だという旨を伝え、厳重に抗議の意を表したい」

さらに主催者に対しては。

(大村知事 愛知県の公式YouTubeより おととし8月)
「県管理のところや市町村管理のところでは、もうやめていただく」
Q新型コロナ終息後であっても?
(大村知事)
「そうです。こういった方は信用できないので、この事業者のいわゆる海浜コンサートはやめていただく、許可しないということ」

この問題はその後、第三者委員会が検証。報告書では「催事主催者の意識やモラル、運営能力を見極め、必要に応じて強い事前指導を行うなど、対応の強化が求められる」という提言が出されました。

この時から2年あまりを経て、CBCテレビに「ある情報提供」が…

「名前を変えてイベントをする」と聞いた…

(情報提供者 10月19日)
「名前を変えてイベントをするというのは、知り合いから聞いた」

そこで主催者は同じなのか? そして開催までのいきさつはどうだったのかを聞くため、まずは国際展示場を管理・運営する会社に問い合わせました。

(横山朋未記者)
「ASIAN HIPHOP CONNECTIONのことで伺いたいが…」
すると、「主催者が公表していないのでお答えできない」との回答でした。

愛知県の施設ですので、担当部局にも聞きましたが、県側もなぜか「主催者については答えられない」という回答でした。

さらに取材を進めると、今回のイベントの企画書が…「前回開催から2年の時を経て復活」の文字とともに、主催者の名前「AH1実行委員会」が表記されていました。

そこで主催者に聞くと、「NAMIMONOGATARIの主催者は今回の主催者ではない」としました。さらに、運営側に携わっているのかを尋ねると、明確な回答はありませんでした。

知事「NAMIMONOGATARIと同じ運営側からイベント開催申請あった」

ことし5月。コロナは5類に移行。感染対策のガイドラインは廃止され、今回のイベントそのものに問題はありません。ただ、県の施設での開催にあたり、経緯や手続きはどうだったのか? 23日、愛知・大村秀章知事に直接聞きました。

Q知事は2021年に『この事業者に対し、行政関連施設の使用を禁止する』と発言しているが、今回の開催の経緯は?

(愛知・大村秀章知事 23日)
「ことしの春に(NAMIMONOGATARIと同じ運営側からの今回のフェス開催の)申し込みがあり、国際会議場の運営会社のAICEC(アイセック)から、『許可しない』『認めない』とやったそうです」。

「NAMIMONOGATARIの運営団体からの、イベント開催の申し出があったと明らかに。そして。

「地方自治法にのっとって。裁判で争われたら(県が)負けちゃいます」

(愛知・大村秀章知事 23日)
「県の施設でありますから、公共施設については地方自治法で、正当な理由がない限り、公の施設の利用することを拒んではならない。仮に裁判で争われたら(県が)負けちゃいますからね」

地方自治法にのっとって判断すると、県の対応に問題はなく、コロナの位置付けが5類になったいま、運営側が前回と今回が同じであっても問題なしと繰り返した大村知事…ただ。

「Qコロナ終息後も開催認めない?そうです」と言っていた知事は

(記者)
「(おととし)8月30日の会見で、『たとえコロナ終息後であっても開催を認めないことですか?』という記者の質問に、知事は『そうです』と発言してますが」

(大村知事)
「法律にのっとってやるということです。名前を変えたり事業者変えたり、そこまで私は聞いておりませんが、そういうことがあったのであれば、それも一つの開催条件だったのではないかという気はする。良いか悪いというのは、いろんな見方、評価があるのかもしれませんが」

「県民から疑問の声もあるが」との問いに「まったくない ナンセンス」

Q「二度と貸さない」という知事発言に対し、県民から「なぜ今回も開催したのか?」という疑問の声もあがっていて、会見での知事の発言に責任はないのか。

(大村知事)
「そういう県民の声はないと思います。まったくないと思います。ナンセンス。そういうことを言うこと自体が」

会見後、街の意見を聞きました。

Q事前に知事から県民に説明があった方がよかったか?なくていいか?
(愛知県民)
「(事前の説明は)なくてもいいかな。そのかわり、きちんと開催するときはしてくれれば」

(愛知県民)
「一度でも主催者が無責任なことをしたら、開催を許しちゃいけないと思います。ましてや(イベントと主催者の)名前を変えて…」

(愛知県民)
「事前説明はあってもよかった。『やらない』って言ったのにやるのは、信用問題につながると思うので、(事前説明が)あっても良かったかなと思う」

(愛知県民)
「愛知県民全員に説明する必要はない。イベントに行かない人からしたら『勝手にやっててくれ』という話なので、特に説明は必要ない」

知事の公での発言は、大変重いもの。「釈然としない」という意見も聞こえる一件でした。

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