元寇船3隻目か 松浦・鷹島沖で木製の構造物発見 外板、隔壁の可能性 長崎県

鷹島沖の海底で見つかった元寇船の外板とみられる木材(上)と、隔壁とみられる木材(松浦市教委提供)

 松浦市教委は23日、鎌倉時代の元寇(げんこう)の遺物が数多く出土した同市の鷹島沖で新たに、船の一部とみられる木製の構造物が見つかったと発表した。沈没した元寇船と確認されれば2011、14年に続く3隻目の発見となる。
 市教委によると、木材は、船体を形作る「外板材」や内部を仕切る「隔壁」とみられる。13世紀後半から14世紀前半の中国製とみられるつぼや皿も周辺で確認された。
 島南東部の150メートル沖合で、水深約18メートルの海底を約1メートル掘って見つかった。2隻目の発見場所とは約50メートル離れている。17年に付近を棒で突いて調べた際、木材や石のような反応を示していた。
 今回は14日から1週間の日程で、部分的に試掘。船の構造や大きさは確認できず、元寇船との断定には至らなかった。木材は現状保存するため埋め戻した。市教委は来年度以降の全体調査実施を目指す。
 調査を主導する国学院大の池田榮史(よしふみ)教授(水中考古学)は記者会見で「分析できる対象が増えていくことは、蒙古襲来の実態を明らかにする上で重要。基礎的な情報を積み上げたい」と話した。
 調査は、水中遺跡調査の技術共有や人材育成に向けた文化庁の事業。鹿児島県喜界町の職員をはじめ、長崎県外から計14人が研修目的で参加し、発掘で生じた水の濁りを解消する市独自の技術などを学んだ。
 鷹島沖の「鷹島海底遺跡」(約150万平方メートル)では、これまで沈没船2隻や武器など約4千点が出土。昨年は大型木製いかりを引き揚げた。このうち1隻目が見つかった神崎(こうざき)港周辺海域の約38万平方メートルは12年、「鷹島神崎遺跡」の名称で海底遺跡としては唯一の国史跡に指定された。

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