五島・椛島神社例祭 「宝来丸」4年ぶりに引き回し 豊漁願いをにぎやかに

住民らに引かれてゆっくり進む宝来丸=五島市本窯町

 長崎県五島市椛島の本窯町で21、22両日、椛島神社例祭があり、豊漁を祈願する伝統の曳(ひ)き船(ぶね)「宝来丸」の引き回しが4年ぶりにあった。
 椛島は福江港から北東約16キロにあり、人口約90人。例祭は大漁祈願などの祭りで市の無形民俗文化財に指定されている。新型コロナ禍で昨年まで規模を縮小していた。
 21日夕はみこし巡行を開始。「六尺」と呼ばれる16人の担ぎ手は出身者らが担い、気勢を上げて集落内を往復した後、お旅所へ運んだ。
 宝来丸は、ちょうちんや色鮮やかなのぼりで飾った約5メートルの木製で、綱を引いて練り歩く。日が暮れると船頭役が乗船。独特の節回しの歌に合わせ、住民や来島者ら約30人が綱を引っ張り、海岸沿いをゆっくりとお旅所まで進んだ。
 お旅所では六尺などが踊りを披露。普段静かな集落は、にぎやかな雰囲気に包まれた。椛島出身で大阪府高槻市から帰省した増田要子さん(78)は「40年ぶりぐらいに参加したが、祭りが受け継がれていてうれしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社