神戸港の帆船「みらいへ」、万博PRのスペシャルサポーターに 行財政改革で大阪市から「お払い箱」も、10年の時を経て大役

2025年大阪・関西万博のスペシャルサポーターに任命された帆船「みらいへ」=24日午前、神戸市中央区波止場町

 2013年に大阪市から払い下げになって神戸港に母港を移した帆船「みらいへ」が24日、2025年大阪・関西万博の「スペシャルサポーター」に任命された。多額の費用を理由に競売にかけられ、一度は「お払い箱」となったが、10年の時を経て、大阪中心の祭典をPRする大役を担うことになった。

 「みらいへ」は全長約52メートルで3本のマストを持つ。元は「あこがれ」という名で、大阪市が1993年、航海練習船として約14億円をかけて建造。だが、年間1億円以上の経費がネックとなり、2012年、当時の橋下徹・大阪市長が主導した行財政改革の一環で、事業廃止になった。

 一般競争入札を経て、一般社団法人「グローバル人材育成推進機構」(神戸市中央区)が所有となったのを機に、現在の船名に。14年から神戸港で体験航海船として活躍していた。

 スペシャルサポーターの大役は、万博PRのために世界を航行していた自然動力船「ポリマ号」から引き継ぐ。ポリマ号は太陽光や風力、水素といった脱炭素エネルギーを動力とする船で、持続可能性の象徴として期待されていたが、今年8月、インド・ムンバイ沖で座礁した。

 運航するNPO法人「ゼリ・ジャパン」は費用などの面から復旧を断念し、後継としてみらいへを取得した。みらいへはディーゼルエンジンを積むものの、同法人は今後、バイオマスエネルギーなどを利用できるようにする方針。引き続き神戸港を母港とし、国内外を航行して、海洋プラスチック汚染や気候変動問題の解決などを訴えながら、万博の機運を盛り上げるという。

 サポーターの引き継ぎ式が24日、神戸港であり、同法人の更家悠介理事長は「神戸の船であるということを大事に思っている。ミナト神戸の魅力も各地で伝えていきたい」と話した。(鈴木雅之、小野坂海斗)

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