<レスリング>2023年世界ベテランズ選手権(ギリシャ)出場の日本チームが帰国

ギリシャ・ルトラキで行われた2023年世界ベテランズ選手権に出場した日本チームが10月22日深夜、羽田空港に帰国した。新型コロナウィルスのため2019年以来の参加で、「金1・銀2・銅4」を獲得し、2014年から続いている金メダル獲得の伝統を守った(派遣なしの大会を除く)。

▲ギリシャから帰国した日本チーム

唯一金メダルを取ったDivision B(41~45歳)70kg級の古里光司さん(神奈川・磯子工高教)は、4試合を勝ち抜いての優勝。「素直にうれしいです」と声が弾んだ。2017年大会(ブルガリア)で優勝し、翌2018年大会(マケドニア)は決勝で敗れて2位。優勝したときは、「しっかり練習して臨んだ」そうだが、2位に終わった年は「追い込まなくても勝てるな」という隙があったそうだ、

その反省から、「今回はしっかり準備しました」と言う。指導する高校の選手や日大を卒業したばかりで現役に近い日大藤沢高の坂野秀尭コーチが相手になってくれたほか、母校の日大、近くの神奈川大や東京・自由ケ丘学園高などに出向いてしっかり汗を流した。「朝練も午後練も毎日共に汗を流した磯子工業高校の選手には、本当に感謝しています」と強調した。

コロナ禍で大会がなくなったり、日本が出場を自粛したりでリベンジの機会がここまで伸びてしまった。派遣再開となった今年は、場所が憧れていたギリシャ。「絶対に出て、リベンジする」という気持ちだったそうだ。

日本選手の3度優勝は、これまで八田正朗さん(1992・93・2000年)勝村靖夫さん(1994・98・2001年)伊藤克佳さん(2016・18・19年)の3人が達成している。それへの挑戦は思案中とのことだが、高校や大学の同級生を誘って、「一緒に行ってくれるなら、ぜひ挑戦したいです」と話した。

▲メダル獲得選手。左から、泉田聡、菊地憲、井上智裕、古里光司、高畑芳和、森巧、森本正悟の各選手(敬称略)


■Division A(35~40歳)62kg級3位・菊地憲さん(秋田病理組織細胞診研究センター)「優勝を目指していたけど、思ったよりレベルがすごくて、メダルもぎりぎりかな、と思いました。銅メダルを取れてよかったです。準決勝はアゼルバイジャンの強豪だった選手で、ポイントを取れなかったので勝てる要素はなかったかな、と思います。(選手生活の)集大成として、この大会を考えていました。子供が小さいので、今後は家族との時間を多く取ろうと思いますが(レスリング活動は休養)、50歳くらいになったら、まだ出るかもですね」


■Division A(35~40歳)78kg級2位・井上智裕さん(FUJIOH)「専門ではないフリースタイルでメダルを取れたことは、うれしいのですが、やはりチャンピオンになりたかった、という気持ちもあります。(フリースタイルの)タックルに慣れていない分、スピードについていけなかったです。決勝の相手は2年前に銀メダルを取った選手みたいです。何もさせてもらえずにやられたのは悔しい。グレコローマンで再挑戦したい、という気持ちもありますが、今はまだ来年以降のことまでは考えていないです」


■Division D(51~55歳)62kg級3位・森本正悟さん(一心館神戸西)「初戦で負けてショックを受けましたが、監督や先輩から『(敗者復活戦のための)準備だけはしておいた方がいい』と言われ、気持ちを持ち直すことができました。初出場ですが、出るからには頂点を目指していました。メダルを取れたからいいかな、という気持ちもあります。今後も機会があれば挑戦したいです」


■Division D(51~55歳)62kg級3位・泉田聡さん(KRAZY BEE)「11年前に出て、その時は1回戦負けでした。(メダルを取れて)そのときの負けを何とか取り返したかな、という気持ちです。初戦で負けましたが、監督から励まされて気持ちを切らさずに(敗者復活戦の)準備していました。3位決定戦は自分の力を出し切れたと思います。練習は週1回、土曜日だけで、あとは家で体力トレーニングです。全日本マスターズは今後も出る予定ですが、世界再挑戦は未定です」


■Division D(51~55歳)88kg級2位・高畑芳和さん(八戸東消防署)「いつかはこの大会に出たいと思っていました。今回が最初で最後と決めて、この試合にかけていました。金メダルでないのは残念ですけど、メダルを取れたことは素直にうれしいです。外国選手は、自分より身長は高い選手ばかりで、パワーはあるしリーチは長いしで、楽な試合はひとつもなかったです。全日本マスターズ選手権には出場し続ける予定です」


■Division E(56-60歳)78kg級3位・森巧さん(新日本管財)「3回目の出場でメダルを取れたことはよかったです。ただ、内容としては、準決勝でリードしながら逆転フォール負けというふがいない結果で、残念です。(グレコローマンの選手だったが)学生時代はフリースタイルにも出ていて、フォール負けはしたことなかったんですけどね…。(61歳以上の部がないので)年齢のため、今年が最後の出場です。次の世代の選手や自分の子供に、もっといい色のメダルの夢を託したい」

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