「戦争に勝者いない」 長崎で交流事業 蘭の元抑留者6人 平和への思いを再確認

福岡俘虜収容所第14分所で献花するオランダ人元抑留者=長崎市平野町

 第2次世界大戦中、旧日本軍によってオランダ領東インド(現インドネシア)で抑留された民間オランダ人6人が24日、長崎市内の原爆関連施設を訪問し、平和への思いを再確認した。
 外務省が2005年度から取り組む日蘭平和交流事業の一環。長崎原爆資料館で被爆者の築城昭平さんの講話を聞き、被爆の実相に触れた。その後、原爆の犠牲となった外国人捕虜らを追悼する「福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所」で献花した。
 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館では館の事業や原爆死没者名簿の説明を受けた。フルール・イフォネ・ウォルムホール・ファン・デン・ヘウフェルさん(91)は「人々が手を取り合うには、過去を忘れず、互いに理解し合い、尊敬し合うことが大切。この場所はその希望の場所だ」と参加者に語りかけた。
 ジョージ・クリストフェル・ファン・ホーヘフェーンさん(84)は「長崎に来ることができて良かった。戦争に勝者はいない、誰もが負けたのだと実感した。戦争は絶対にしてはいけない」と語った。
 この日は長崎大の学生と交流し、25日は鈴木史朗長崎市長を表敬訪問する。

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