小3、やまがた百名山踏破 鈴木壱智君(寒河江)、父らと4年かけ

鳥海山を登り「やまがた百名山」を全て踏破した鈴木壱智君=8月26日、遊佐町・同山頂(武田伸一さん提供)

 寒河江市醍醐小3年鈴木壱智(いち)君(9)が本県の「やまがた百名山」を全て踏破した。5歳から約4年をかけて、父昭利さん(41)たちと一緒に助けてもらいながら登り、8月26日に鳥海山(2236メートル)で100座を達成。「気付いたら100個も登っていた。うれしい」と話し、「いつかは北アルプスの剣岳(2999メートル)や槍ケ岳(3180メートル)に登りたい」と新たな挑戦への意欲を見せる。

 同市職員の昭利さんは趣味として月山(1984メートル)や大朝日岳(1871メートル)、県外では北アルプスに登ってきた。長男の壱智君は保育園年中だった2019年8月に、昭利さんと西川町の姥ケ岳(1670メートル)に挑戦。月山ペアリフト上駅から、約40分をかけて頂上に着いた。「つらかったけど山頂からの眺めがきれいだった」。同年に難易度が低めの中山町の高取山(271メートル)なども登り、百名山踏破が目標となった。

 登山は土日曜や夏休みなどに行い、昭利さんの同僚で登山仲間の武田伸一さん(60)も協力した。年長時は葉山(1462メートル)、醍醐小1年で大朝日岳、2年で湯殿山(1500メートル)などの山頂に立った。昨秋は神室連峰の火打岳(1238メートル)、小又山(1367メートル)、神室山(1365メートル)を一日で踏破。足が痛くなり登山で初めて涙を流した。それでも14時間を歩き切った。

 今年8月上旬はベテランでも苦労する飯豊連峰で飯豊山(2105メートル)、北股岳(2025メートル)を巡る約35キロを3日間で完歩。ラストの鳥海山では、山頂から月山や葉山などこれまで登った山々を望んだ。「たくさん登ってきたんだなあ」と達成感が湧いたという。

 登山の魅力を「すれ違った人からあいさつしてもらえるのが一番うれしい」と話す壱智君。登山道脇の植物や昆虫などにも興味を持ち、山菜を採りながら登るのも楽しみ。登山ならではの光景では飯豊山山頂で朝の山影が眼下に見える「影飯豊」が印象深いという。

 昭利さんは「最初は手をつないで登っていた」と振り返り「今は逆に励ましてくれる。最高の相棒」と頼もしそう。武田さんは「自然が大好きという気持ちが伝わってくる。山の美しさに加え厳しさも感じ、向き合い方が変わってきた」と成長を感じている。壱智君が見据える剣岳や槍ケ岳は国内屈指の難易度。「山形での経験を生かして挑戦したい」。目指す高みは、まだ先だ。

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