川勝知事の“議会軽視”発言めぐり県議会閉会中審査で厳しい質疑 どこに問題が?専門家は…(静岡県)

川勝知事の“議会軽視”ともとれる発言をめぐり、25日も静岡県議会では閉会中審査が開かれ厳しい質問が…。知事の発言のどこに問題があったのか専門家に聞きました。

(静岡県議会総務委員会 河原崎 聖 委員)

「現時点では『詰め』ではないしっかりと訂正する謝罪する必要がある」

25日も県議会では川勝知事の発言について厳しい指摘が相次ぎました。川勝知事は10月、経済界との懇談会で「三島市に東アジア文化都市の発展的継承センターを置きたい。土地を物色している」と発言。さらに、「国の土地を譲ってもらおうと詰めの段階に入っている」「買わないで定期借地で借りる」などと具体的な発言もしていました。これに対し県議会の自民党会派は「事前に説明がなく議会軽視ではないか」と反発していましたが川勝知事は「アイデアにすぎない」と説明していました。

(川勝知事)

「まだひとつのアイデアにすぎませんで、何も決まっていないのが現状」「今議会において、県議会の皆さまとコミュニケーションを図る努力をしていくと答弁した考えは変わっておりません」

この発言をめぐり、23日 県議会の文化観光委員会は閉会中審査を開きました。

(静岡県議会文化観光委員会 杉山 盛雄委員)

「県議会議員も誰の1人も知らない、部も知らない、 これが『詰めの段階に入っている』ということを発言をしたことが、大きな問題なんです」

委員からは「知事の発言は適切ではなかったのではないか」などの指摘がありました。知事の発言にあった「東アジア文化都市」とは日本・中国・韓国でそれぞれ選ばれた都市が年間を通して国際交流や文化芸術の魅力を発信するものです。川勝知事肝いりの事業で今年度の当初予算には関連事業も含め21億円が計上されています。県は富士山の世界遺産登録から10周年を記念したイベントを中心に静岡の文化を国内外に発信したい考えです。この取り組みは9月末現在で869件の認証プログラムがありますが県民の認知度が高いとは言えない状況が続いています。

そして25日、県議会の総務委員会でも知事の発言が審議されました。委員からは東アジア文化都市に関する発言について「詰めに入っているという発言は虚偽説明なのではないか」「知事の発言が不適切だったかを判断する仕組みが必要なのではないか」など厳しい質問が相次ぎました

(静岡県議会総務委員会 河原崎 聖 委員)

「外部の人に対して決まっていない事を言いふらした」「思い付きの段階で『詰め』といってしまう」「現時点では詰めではない、しっかりと訂正する謝罪する必要がある」

県の担当者は「知事の“詰めの段階”という発言は誤解を生む表現だった」「外部に出す段階ではなかった」と答弁しました。総務委員会は「今回の発言や経緯に関係する国などの関係者を招致して話を聞く必要がある」として引き続き調査を行う方針です。

川勝知事が経済界との懇談会で「三島市に東アジア文化都市の発展的継承センターを置きたい」「(国の土地を譲ってもらおうと)詰めの段階に入っている」「買わないで定期借地で借りる」などと発言しましたが、どこに問題があったのか整理していきます。

県内の政治・行政に詳しい静岡産業大学の小泉祐一郎教授によりますと、この発言については「伝え方に配慮が足りなかった」と指摘します。知事が「様々な政策アイデアを発言することは大切だ」とした上で、構想段階なのか具体的に進んでいる案なのかを明確にせずに発言してしまったことが、“議会軽視”ととられることに繋がってしまったのではないかと見解を示しました。

さらに小泉教授は、川勝知事が「東アジア文化都市のレガシーとして残す」と具体案を示したことについて「時期尚早」だと指摘します。川勝知事は「アイデアの一つに過ぎない」と説明していますが、そもそも東アジア文化都市事業は、2023年に1年かけて実施するもので、現在は評価が定まっていません。本来は、成果をまとめた後に、レガシーとして残していくのか決めていくべきもので、今の段階で具体案を発言するのは、「混乱を招くものだった」と話しています。

© 株式会社静岡第一テレビ