「無罪ですと言うしか無罪を訴える」出廷免除の巖さん “補佐人”姉ひで子さんが心境語る 27日に“袴田事件”再審初公判

10月27日に初公判を控える「袴田事件」の再審=やり直し裁判について裁判所が袴田巖さん(87)の出廷の免除を認めたことを受け、姉のひで子さん(90)が現在の心境を語りました。

【写真を見る】「無罪ですと言うしか無罪を訴える」出廷免除の巖さん “補佐人”姉ひで子さんが心境語る 27日に“袴田事件”再審初公判

<袴田さんの姉・ひで子さん(90)>
「裁判は初めてだもんで、行ってみなければ分からん」

常に明るく振る舞うひで子さんですが、初公判を2日後に控え、いつも以上に明るく見えました。

57年前の1966年、旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巖さんの再審が10月27日、静岡地方裁判所で始まるのを前に裁判所、弁護団、検察は10月24日、3者協議を実施。

弁護団によりますと、この中で裁判所は「袴田さんの出廷について強制はしない」と述べ、免除を認めたということです。

袴田さんは、長年にわたり拘置されたことで、精神的に不安定な状況が続いていて、現在も十分に会話ができないことなどから、弁護団は再審への出廷を免除するよう求めていました。

裁判所の判断を受け、姉・ひで子さんは・・・。

<袴田さんの姉・ひで子さん)>
「弁護士が一生懸命やってくれたので、こうなって当たり前だと思っている。巖は話ができない。とんでもないことを言っている、妄想の世界で。裁判に出そうというのが無理」

袴田さんが2014年の釈放後に書いた日記には、「全世界の天下を獲った」という理解しがたい言葉や「王正2年」という存在しない年号が記されていました。

再審を担当する静岡地方裁判所の國井恒志裁判長は、このノートなどを確認したほか、9月29日、袴田さんと面会し、出廷免除の判断に至ったとみられます。

27日に開かれる初公判では、袴田さんの代わりにひで子さんが「補佐人」として参加し、起訴内容に対する意見を述べることになります。

<袴田さんの姉・ひで子さん>
Q.緊張はありますか?
「全然ございませんよ。裁判所は初めてなので、私。行ってみなければ分からん」
Q.起訴状に対する罪状認否はどう答える?
「まあね、無罪ですというしか。無罪を訴える」

一方で、弁護団は、証拠の取り調べに想定以上の時間を必要とすることが決定的で、当初想定されていた年度内の結審は困難という見立てを示しました。早ければ、2024年6月とみられていた判決もさらに遅くなる可能性が出てきました。

© 静岡放送株式会社