長崎県のヤングケアラー調査 「家族を世話している」934人 具体的な支援推進計画策定へ

 長崎県は25日、親族や友人ら身近な人の介護や看護、日常の世話をする「ケアラー」について、今夏初めて実施した調査結果の概要を明らかにした。このうち小学6年、中学2年、高校2年生を対象にしたヤングケアラーの調査では、回答を得た計2万3663人のうち、934人(3.9%)が「世話をしている家族がいる」とした。
 今年4月施行の県ケアラー支援条例に基づき設置された有識者会議で報告した。
 学校種ごとの内訳は中高生519人(3.6%)、小学生415人(4.5%)。世話をしている対象として「きょうだい」が中高生57.2%、小学生74.2%と最多を占め、「(きょうだいが)幼い」を理由に挙げる割合が高かった。「祖母」「母親」との回答も10%前後あった。
 世話の内容はいずれの学校種でも「見守り」「送り迎え」「家事」と続いた。世話の頻度は「ほぼ毎日」が最多で、時間は「1~2時間未満」「2~3時間未満」が多かった。
 世話したことによる経験として「特にない」がいずれも50%以上だったが、「自分の時間が取れない」と回答した児童・生徒も10%超いた。世話の悩みなどについて相談した経験が「ある」としたのは、中高生17.3%、小学生18.3%にとどまった。
 高齢者と障害者のケアラー計650人が回答した調査についても報告。いずれも世話を担う人の約70%が女性だった。世話する相手は高齢者のケアラーは「父母」が最多で、次いで「配偶者」、障害者は「子ども」が最も多かった。2人以上の世話をする状態にある人も一定数いた。健康面への影響については「疲れが取れない」が半数以上を占め、「睡眠不足」「気分が沈みがち」などと回答する割合も高かった。
 調査結果を受け県は、ケアラー、ヤングケアラーいずれにおいても「社会的認知度の向上」と「相談・支援体制の構築」などが課題と説明。本年度はポスターやリーフレットの作成、シンポジウム開催などに取り組むとした。有識者会議では本年度中に具体的な施策を盛り込んだ支援推進計画の策定を目指している。調査結果は近く県ホームページで公開するという。

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