北京パラ柔道出場 初瀬さん講演 「一歩踏み出すと世界が変わる」

講演する初瀬さん=県立盲学校

 2008年の北京パラリンピック視覚障害者柔道に出場し、現在は障害者雇用コンサルタントなどとして活躍する初瀬勇輔さん(42)=佐世保市出身=が15日、西彼時津町西時津郷の県立盲学校(下田勝美校長、16人)で講演し、児童生徒たちに「一歩踏み出すと世界が変わる」とメッセージを送った。
 「みえないことを力に変える~パラスポーツが教えてくれたこと~」をテーマに同校の進路講演会で話し、児童生徒や保護者、教職員ら約50人が聴講した。
 初瀬さんは青雲中高を卒業後、浪人中に右目、東京での大学在学中に左目と、緑内障を2度患い視力をほぼ失った。失意の底で中高時代に打ち込んだ柔道を再開。障害を受容するきっかけになるとともに、国内外の大会で活躍し、日本代表として北京パラに出場。現在、経営者として障害者雇用の支援を手がけるほか、日本パラリンピック委員会の運営委員などとしても活動している。
 講演で初瀬さんは、自身の経験談のほか、パラリンピックの父と呼ばれるグットマン博士の「失ったものを数えるな、残されたものを最大限生かせ」という言葉を紹介。「自分で変えられないことではなく、努力すれば変えられることに注力することで自分も成長できた。やりたいことを言葉にし、一歩踏み出すことがインクルーシブな(分け隔てない)社会にもつながる」とエールを送った。
 高等部専攻科3年の福浦ひな子さん(23)は「私も20歳で盲学校に入学するという“一歩”を踏み出して救われた。話の中に共感する点、学ぶ点が多くあった」と感想を語った。

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