弘南線一部再開 11月上旬全通目標/弘南鉄道

一部区間で運転を再開した、弘南鉄道弘南線の列車から降りる利用者ら=26日午前7時50分、弘前駅

 弘南鉄道(本社・青森県平川市)は26日、レール補修などのため運休していた弘南線(弘前-黒石)のうち、弘前-田んぼアート間で1カ月ぶりに運転を再開した。利用者からは「助かる」「もう運休しないで」などの声が聞かれた。同社は東奥日報の取材に対し、弘南線の全線再開時期について「11月上旬を目指す」と答えた。

 同日朝の弘前駅は、列車を待つ客で混雑した。到着した列車からは大勢の乗客が降り、通勤通学先へ向かった。津軽尾上駅から乗車した山谷俊太さん(弘前学院聖愛高3年)は「代行バスよりも混んでないし早く着く。再開してくれてうれしい」と喜んだ。平賀駅で弘前行きの列車を待っていた女子高生(17)は「ようやく、いつも通りの(通学)時間に戻った感じ。もう運休しないでほしい」と話した。

 弘前市から津軽尾上駅に隣接する事業所に通う岩渕沙織さん(44)は「私は(運休の間)、事業所の送迎バスに助けられたが、電車がないと困る人が大勢いる、とあらためて思った。急に運休し、期間も長かった」と改善を求めた。

 弘南鉄道では、先月25日に弘南線と大鰐線(大鰐-中央弘前)の両路線で基準値を超えるレールの摩耗が見つかり、補修や点検をしている。大鰐線は、中央弘前駅寄りの一部区間で11月中旬の運転再開を目指す。船越信哉常務は東奥日報の取材に、境松-黒石間の一部レールを新品に交換するなど「安全性をより高めている」ため、運転再開が遅れていると説明した。

 一部運転再開により、再開区間は通常ダイヤに近づいた。残りの区間はバス代行を続ける。今回の補修費の財源については、沿線自治体などでつくる活性化支援協議会であらためて協議する。

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