青森の秋、万華鏡 津軽富士見湖(鶴田町)で「けあらし」 大尽山(むつ市)は紅葉終盤

朝日に染まった「けあらし」が見られた津軽富士見湖。中央は鶴の舞橋=26日午前6時15分、鶴田町
紅葉が終盤を迎えた大尽山山頂(手前)。宇曽利山湖の向こう岸に恐山が見える=26日午前、むつ市。東奥日報社ドローンで撮影

▼鶴田・津軽富士見湖
 26日早朝、青森県鶴田町の津軽富士見湖で霧が立ち込める現象「けあらし」が発生した。朝日に染まった霧と、シルエットで浮かび上がった鶴の舞橋や野鳥の姿が神秘的な光景をつくった。

 けあらしは放射冷却で冷え込んだ朝、海や湖、川で霧が立ち上る現象。美しい風景写真を求めて約30年間、津軽富士見湖に出かけている同町の工藤勝弘さん(72)によると、同湖でのけあらしは「春や秋に発生することがあるが、いつでも気軽に見られるものではない」という。

 午前6時過ぎから朝日が差し込み始めると、白っぽかったけあらしは見る見るオレンジ色に染まった。同7時過ぎにはほとんど消えていた。

▼むつ・大尽山
 日本三大霊場の一つ、むつ市の恐山から宇曽利山湖を挟み、真正面に見える大尽山(おおづくしやま)。26日、標高827メートルの頂上からは紅葉とともに宇曽利山湖の水面の青、恐山・極楽浜の白砂などが一体となったパノラマが広がった。山の裾野にはブナの黄葉が広がり、津軽海峡、陸奥湾、夏泊半島まで望むことができた。

 この日登頂したむつ山岳会員の一人、同市の中村ユキ子さん(67)は「一年中どの時期も魅力のある山だが、きょうは紅葉がきれいで最高だった」と話した。

 恐山は31日に閉山し、来年5月まで長い冬ごもりに入る。ただ恐山への県道が通行できる場合、11月5日までは参拝できるという。

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