「Harper‘s BAZAAR art」発刊記念イベントに文筆家の内田也哉子が登壇!

ハースト婦人画報社が発行する働く女性をエンパワーするインターナショナルファッション誌『Harper‘s BAZAAR(ハーパーズ バザー)』。
1867年にアメリカで創刊されて以来、芸術的なファッション写真と美しい誌面デザインで絶対的な地位を築き上げてきた本誌は、日本やアジアで活況のアートシーンにラグジュアリーファッションの視点から真摯に向き合い、アート界における女性たちの活躍や、まだ見ぬ次世代の才能に光を当てていく新たな一歩として、10月19日(木)に「ハーパーズ バザー2023年12月号Harper’s BAZAAR art 特別版」を創刊した。

その創刊を記念して、10月25日(水)に代官山 蔦屋書店 にて、本誌にも登場した文筆家の内田也哉子をスペシャルゲストに迎え、編集長である小栗裕子とコントリビューティングエディターを務めた太田睦子によるトークセッションを開催した。

最初のトークパートでは、アートとファッションについて小栗編集長が、「創刊当時からHarper‘s BAZAAR(ハーパーズ バザー)はアートとかなり近い存在であった女性誌。今年で10周年になりますが、創刊号からアートのセクションはあったものの、主体になるのはファッションで、どうすれば二つの楽しさを一緒に紹介できるか試行錯誤を重ねてきました。」とコメント。また、ファッションのあり方、ブランドの価値観が大きく変わっている今、時代の変化とともにブランドのDNAをどのように表現していくかという、ファッションブランドによる原点回帰の動きがあるなかで、様々なコンテンポラリーアートとのコラボレーションの実現など、ファッションクリエイティブがアートに近づいていることから、長年温めていたファッション×アートを雑誌で表現したかったと思いを語った。さらに、小栗編集長は「日本でもアートに触れる環境は増えていますが、それでもどういう風に受け止めたら良いかわからないという声もいまだに聞こえてきます。まずは批評するための予備知識などはおいておいて、自分が好きだなとか心が躍るような気軽な楽しみ方をしてほしい。」と本誌に込めたメッセージを伝えた。

10月19日(木)に創刊された「ハーパーズ バザー2023年12月号Harper’s BAZAAR art 特別版」の見どころを聞かれた小栗編集長は、「創刊号ではアートの業界で活躍する女性たちを、表現者だけでなく裏方にいたるまでフラットに紹介し、現在のアートシーン全体のムードを感じられるようにカジュアルに構成しているので、ファッション誌を読むような感覚で気軽にアートを楽しんで読んでもらいたい。」と思いのうちを伝えた。

そして、イベント中盤にはスペシャルゲストとして、文筆家の内田也哉子が登壇し、3人でのトークセッションを実施。内田は本誌の企画で、イタリアのミラノにあるプラダ財団を訪れたとのこと。

世界のアートシーンを語るうえで、常に時代をけん引し、時代の最先端を走るアーティストの新作展示から、挑発的な作品を展示してきたプラダ財団の活動の神髄に迫るべく、実際にこの場所に訪れた内田は、感想を聞かれ、「一週間前に取材が決まり、2日間の弾丸スケジュールでプラダ財団を訪れ、入れた時間は2時間限定。撮影での衣装チェンジもあったりとバタバタなスケジュールではありつつも、逆にライブ感を味わえて楽しかった。」と笑顔をみせた。

現地では様々な展示作品を見て、作品の世界観に埋もれたような気分になれたと感想を述べた内田。「モダンな建物の中にある展示場には、片面はガラス張りで外にはクラシックなイタリア・ミラノの景観とは打って変わり、殺風景な工場景色が広がっており、一部を切り取られた不思議な光景が広がっていて、建物がどこに迷い込んでも感銘を受ける造りだと感じました。」とコメント。
そして、ロンドンで生活されていた時期もあった内田は向こうでの生活でもアートに触れる機会があったそうで、「ロンドンの美術館はすべて無料で、子どもと学校帰りに晴れていたら公園へ、雨だったら美術館に行くなど、美術館への敷居が全体的に低く、だれでも気軽に何百年と存在しているアートに触れることができ、子どもが美術館の絵を模写したり、インスパイアを受けて絵を描いていたりすると、本当に豊かなアートの土壌がここには溢れているんだなと思いました。」と海外ならではの文化とアートの結びつきを体感したと回答した。

イベントの終盤、小栗編集長は「アートは難しさや敷居が高いと思われがちですが、まずは自分の好きを発見する目的でアートやファッションの展示会に気軽に訪れて、より身近に感じてほしい。」と伝え、内田は、「アートは理屈だったり言葉だったり形では収まりきれない感情やまだ知らない大きなものを自分の人生の中に取り込めることができる大きな窓口であるので、アートがなくても生きていけるけど、アートがなければこんな素敵な人生はなかったなと私は思います。アートを見れば見るほど、出会えば出会うほど自分の固まっていた視点が変わるのでより豊かな未来が創造できると思います。」と自身も思いを述べた。

最後に、内田は「旅先で出会うアートは格別なもので、もちろん国内でもそうですけど自分の足で生の作品を見にいける自由さ、開放感、そして、そこから得たものをまた日常に根差していくことが大切なのだと教えてもらいました。」とコメント。
太田は「写真は窓であり鏡であるといいますがアートも同じで、世界を見せてくれる窓であり、自分自身を写す鏡でもあるので、アートに触れるということは特別でもなんでもなく、生きていくうえで必要であるもの。」とコメント。
最後に小栗編集長が、「私たちのミッションとしては、Harper‘s BAZAAR(ハーパーズ バザー)のコンセプトにもあるようにまだ見ぬ才能に光を当て、声を届けることです。皆さんにアーティストの方々の思いを伝えていきたい、そういう意味でも様々な視点でファッションとアートを、そしてご自身の好きを見つける旅みたいな気持ちで本誌を見ていただけたら嬉しいです。」とコメント。

トークイベントは終始和やかなムードで締めくくられた。

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