【漫画】芥川龍之介を夢見て上京も バイトでミス、眠れない日々…若者の切ない思いに共感 作者語る

芥川龍之介を越える文豪を夢見て、上京した青年が「ぼんやりとした不安」に襲われ、眠れなくなってしまう!「苦労せず自転車に乗れた時が才能の限界だったのかな?」「芥川龍之介はバイトでミスをして落ち込んだことはあるのかな?」など、つぎつぎと不安が押し寄せる中で、青年に少しだけ前向きな気持ちが芽生える──SNS掲載作品『眠れない』

『眠れない』1-1

ポジティブな作風が多いSNS漫画の中で、若者特有の切なさや寂しさを描いた作品『眠れない』は、読者から共感を集め、エックス(旧Twitter)にて5000件に迫るいいねを獲得した。そこで今回は、若者特有の心の揺れ動きを描き続ける、作者のほしつさん(@hoshitsu_uloi)に取材を行い、創作の背景について話を聞いた。

眠る前のどうでもいい時間を切り取った

そもそも、ほしつさんが創作に向かったのは大学進学の受験勉強のときだという。あまりにも辛いこの時間から現実逃避するため、pixivに漫画投稿をはじめたのがきっかけだ。「小学生の頃にレゴブロックに熱中していたのですが、あまり組み立てが上手ではなく……。次第にコマ撮りのアニメを作るようになった時に、自由帳に絵コンテのようなものを描き始めたのが最初ですね」

『202号室』2-1

これまでにSNSなどに発表された作品は実に多彩だ。ホラーや学園モノ、王道のギャグ作品まで、さまざまな作品を描いている。そうした創作の中で、大切にしているのが登場人物の「会話」だという。

『どくやぶ』4-1

「会話文をなるべく自然な感じにしたいという意識が自分の描いた漫画には通底している気がします。とはいえ、文章を書くことに苦手意識があるのでうまくできているのか常に不安がありますね」

また、本記事で取り上げた『眠れない』については、ほしつさん独自の強いこだわりがあった。

『がんばれオカルト研究部』3-1

「同じ構図のコマを何個も並べている所が作品のポイントです。眠る前のどうでもいい時間の雰囲気が出るように描きました。あと、芥川龍之介の模写をがんばって描いたので、読者の人に『がんばったな』と思っていただけたら幸いです」

独特な作風で描き続けるほしつさんに、今後描きたい作品について質問すると「『インディ・ジョーンズ』や、『ダイ・ハード』みたいな漫画を描いてみたいです」と、意外な答えが返ってきた。個性的な作風と超大作がどのような形で融合するのか。これからの活動にも期待したい。

<ほしつさんInformation>
■エックス(旧Twitter)/
https://x.com/hoshitsu_uloi?s=20

■pixiv
https://www.pixiv.net/users/15822206

(よろず~ニュース特約・橋本未来)

© 株式会社神戸新聞社