「弟に真の自由を」姉・ひで子さん “無実” を主張 袴田巌さん再審初公判(静岡地裁)

27日に行われている袴田巌さんの再審の初公判で、検察は袴田さんは犯人であると主張。一方、弁護側は袴田さんの無実を訴え、検察は有罪立証を放棄するべきだと主張しました。

(白鳥 貴久 記者)

「10時半前です。弁護団が裁判所に入っていきます」

1966年 静岡県旧清水市で一家4人が殺害された事件で、袴田巌さんは死刑判決を受けました。しかし、2023年3月、東京高裁が有罪の決め手となった証拠である犯行時の着衣とされる”5点の衣類”に、捜査機関のねつ造の疑いがあるなどと指摘し、袴田さんの再審、裁判のやり直しを認めました。

再審をめぐり、袴田さんは長年収容されていた影響で十分に会話ができないことから、出廷の免除が認められ、裁判には出席しないことになりました。

27日の再審初公判は午前11時すぎから始まり、検察が起訴内容を読み上げた後、袴田さんに代わり補佐人として出席した姉のひで子さんが罪状認否を述べました。

(袴田 ひで子さん)

「1966年11月15日、静岡地裁で弟は無実を主張しました、57年間、紆余曲折、艱難辛苦ありましたが、再審で私が弟に代わって無実を主張します、裁判官、弁護士、検察官、大変お世話になりました、弟に真の自由をお与えくださいますようお願い申し上げます」

再審を通じて、検察側は袴田さんの有罪の立証のほか、高裁から指摘された”5点の衣類”に関する捜査機関のねつ造はなかったと主張する方針です。

27日の裁判で、検察はこれから3点にわけて有罪を立証すると説明し、1点目として犯人がとった行動を袴田さんであれば行うことができたことや、証拠品や現場の状況から犯人がみそ工場関係者と強く推認されることなどを説明しました。

一方、弁護団は再審公判を通じて、袴田さんが無実であることや、重要な証拠”5点の衣類”がねつ造されたものであることを明らかにしていく方針です。

27日の裁判で弁護団は、現場の状況などから強盗殺人ではなく、恨みによる殺人で、犯人は複数犯であると主張しました。さらに、捜査機関が自白調書を変造するなどの違法行為を繰り返していたと指摘。そして”5点の衣類”は、捜査機関にねつ造された証拠であり、証拠から排除されなければならないと主張。検察は有罪立証を放棄するべきだと訴えました。

27日の公判は午後5時ごろまで行われる予定で、その後、弁護団が会見を開く予定です。

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