350万年前のチョウ化石は新種 40年前、群馬・南牧村で発見

新種と分かった約350万年前のチョウの化石(慶応義塾幼稚舎の相場博明教諭提供)

 約40年前に大学生が卒業論文のために群馬県で採集した化石が、約350万年前の鮮新世に生息していた新種のチョウの化石だったことが分かったと、慶応義塾と鹿児島大のチームが27日までに発表した。絶滅したチョウの化石としては最も新しい時代のもので、チョウの進化の過程をひもとく貴重な資料になるという。

 化石は、生き物の死骸が水中に沈み、上から土砂が積み重なってできるが、チョウは体が軽い上、羽に水をはじく鱗粉があるので沈みにくい。化石になりづらく、これまで成虫の化石は世界で60個ほどしか見つかっていない。

 チームによると、今回の化石は、植物化石や昆虫化石が産出する群馬県南牧村の「兜岩層」と呼ばれる地層で、約40年前に東京学芸大の学生が見つけた。今回、高解像度の顕微鏡が使えるようになり、詳しく分析できた。

 チョウの体長は3センチほどで、羽の色の濃淡や脈のパターンからミスジチョウの仲間だと判明。原始的なチョウから現生のチョウに進化する過程で失われた前羽の脈の一部が残っていることなどから、新種と判断した。

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