「史跡相当」遺跡42件を選定 文化庁が初公表、開発懸念で

富雄丸山古墳=1月、奈良市

 文化庁は27日、全国の埋蔵文化財(遺跡)の中から国指定の史跡に相当する価値がある27県の計42件を初めて選び、公表した。史跡になれば開発行為に強い規制がかかるが、その前段階で土地の開発事業者らに保存に向けた配慮を促す狙い。富雄丸山古墳(奈良市)や平城貝塚(愛媛県愛南町)などが選ばれた。

 2019、20年に再開発工事で見つかった鉄道創成期の遺構「高輪築堤跡」(東京)が一部しか保存されなかった反省から、文化審議会がリスト化を提言していた。

 42件は縄文時代から近代にかけての城跡、古墳など。関係者によると、市街地にある平城貝塚のほか、益生田古墳群(福岡県久留米市)などは今後、開発との調整が求められる可能性がある。富雄丸山古墳は、出土した国内最大の「蛇行剣」が公開され話題となった。

 遺跡のある土地は全国に約47万件あり、各自治体が「周知の埋蔵文化財包蔵地」として地図で公表するなどしている。このうち史跡指定されるのは学術的価値が高く所有者の同意が得られたものに限られる。

© 一般社団法人共同通信社