不漁続く兵庫・但馬地域のズワイガニ漁、今季の見通しは 松葉ガニは前年並み、セコガニは上回る予想

26日に漁業者や観光事業者の意見交換会があり、県機船底曳網漁業協会の川越一男会長はズワイガニの安定供給を約束した=香美町香住区香住

 兵庫県但馬水産技術センター(香美町香住区境)は、11月6日に解禁されるズワイガニ漁の漁況見通しを発表した。雄(松葉ガニ)は解禁直後は前年を下回るが、漁期全体では前年並み。雌(セコガニ)は、解禁直後と漁期全体いずれも前年を上回ると予想している。

 但馬地域のズワイガニの水揚げは過去2年、記録的不漁が続いた。今季、富山県以西の「日本海A海域」で国から割り当てられた漁獲可能量は3400トン(前季比600トン増)で、兵庫県は947トン(同111トン増)。但馬では昨季より2隻減の37隻が操業する。

 同センターは10月中旬に香住沖、津居山沖、浜坂沖の計14地点でトロール網の試験操業を実施。調査海域での雄の推定生息数は6万匹(前年比34%減)で、漁解禁直後に水揚げする但馬沖での漁獲量は前年を下回るとした。ただ、過去5年平均は5万9千匹で、近年の平均的な漁獲量になると予想。雌は21万4千匹(同59%増)で過去5年平均の1.5倍だった。

 一方、但馬の船が漁期を通じて操業する島根・浜田沖から京都・丹後沖の漁場全体では、国立研究開発法人水産研究・教育機構が日本海A海域について雄が前年並み、雌が前年をやや上回るとしている。

 同センターによると、但馬沖では、2025年以降に漁獲対象となる若齢ガニが増加。津居山港は今季、資源保護の観点からミズガニ(脱皮して間もない雄)漁を自粛する。昨季は但馬全体の11%に当たる5.9トンを水揚げしたが、隣の京都府では2008年からミズガニ漁を全面自粛しており、それに倣うという。

 漁期は雄が来年3月20日まで、雌が年末まで、ミズガニは来年2月のみ。(長谷部崇)

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