「無駄な支出」 原告住民が上告断念を要請 スタジアム訴訟で栃木市に

大川市長らに上告断念を要請する原告団の住民=27日午後、栃木市役所

 栃木市岩舟総合運動公園内に日本理化工業所(東京都)が建設したサッカー専用スタジアムを巡る住民訴訟で、市が固定資産税や公園使用料を免除したのは違法として市側の控訴を棄却した東京高裁の控訴審判決を受け、原告団の住民が27日、市役所に大川秀子(おおかわひでこ)市長を訪ね、上告を断念するよう要請した。

 原告団は(1)上告断念と市民への謝罪(2)速やかな税賦課と使用料徴収(3)控訴に関する公金支出の弁済-などを求める要請書を24日付で大川市長に提出していた。

 大川市長は控訴審判決について「厳しい財政や人口減少など地方が抱える問題を全く考慮せず、まちづくりの裁量権を認めていない」と指摘。「上告するか否か慎重に検討中で、回答できる段階でない」と述べた。

 原告団は「地方が抱える課題への思いは同じだが、税の減免というやり方が問われている。上告は無駄な支出を続けることになる」「税は税。まちづくりはまちづくりと分けて考えるべきだ」などと訴えた。大川市長は「いろいろ意見をもらったので十分考慮して答えを出したい」と応じた。

大川市長(手前中央)らに上告断念を要請する原告団の住民=27日午後、栃木市役所

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