遺族「逃げずに本当のこと話して」 那須雪崩事故、きょうから被告人質問 宇都宮地裁

裁判を記録したノートを見つめる奥勝さん(左)と妻友子さん。手前の写真は長男公輝さん=10月下旬、さくら市氏家

 那須雪崩事故で業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人の被告人質問が25日から順次、宇都宮地裁で始まる。遺族はこれまで、民事調停や民事訴訟で、3人からの直接の説明を求めてきたが、かなわなかった。「逃げずに本当のことを話してほしい」。被害者参加制度を利用し法廷で公判を見守ってきた遺族の一人はそう求める。

 遺族の一部は2020年3月、教諭ら3人に民事調停を申し立てたが不成立となり、22年2月に損害賠償を求め民事提訴した。ただ、いずれも3人から直接説明を聴く機会はなかった。

 長男奥公輝(まさき)さん=当時(16)=をなくした父勝(まさる)さん(52)は「ずっとわれわれの一方通行のような感じだった」と振り返り、被告人質問に注目している。「3人の話を聞いたら腹が立つと思う。でも彼らがどんな心境なのか、何も聞けないよりはましだ」

 母友子(ともこ)さん(52)は、3人の当時の認識などが明らかになることを願っている。

 「どんな答えが出るかは分からないが3人が自ら言葉を発することで、記録、証拠を残すことが必要」と友子さんは強調する。

 「公輝は何かを聞きたくても聞けない。言い返したくても言い返せない。先生たちには『うそはつかないで』と思っているはず」。愛息の気持ちをそう代弁した。

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