九州高校野球 福岡で28日開幕 長崎県勢は長崎日大と海星 上位絡む力備え、戦いへ

他県からもマークされている長崎日大のエース西尾=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 来春の選抜大会(甲子園)につながる第153回九州地区高校野球大会は28日~11月3日、福岡県の久留米市野球場と小郡市野球場で行われる。長崎からは県大会を制した長崎日大が5季連続28度目、準優勝の海星が3季連続46度目の出場。長崎日大は第1日の第1試合(28日10時30分・久留米)で大分舞鶴、海星は第2日の第1試合(29日10時・小郡)で明豊(大分)との1回戦に臨む。九州の選抜出場枠は4。昨秋は長崎日大が準優勝、海星が4強に入り、県勢初の甲子園ダブル出場を達成した。今年もそろって上位に絡む力を備えている。

■長崎日大 すごみ増すエース西尾
 秋の九州大会出場は4年連続。県勢初となる3年連続の選抜切符獲得を目指す。注目は昨季から活躍するエース西尾。県大会は大崎との準決勝、海星との決勝で連続完封し、登板4試合計27回で1失点と圧巻の投球を披露した。「無失点なら負けない。(優勝して)明治神宮大会に出場したい」と大黒柱としてすごみを増している。
 球速140キロ台の直球に頼らず、変化球を巧みに駆使する。カットボールが130キロ台後半まで伸びたことが特に大きく、スライダー、フォーク、カーブと多彩。県大会は準決勝の「17」をはじめ、投球回数を上回る31個の三振を奪い、計8安打もきれいに捉えられた打球は少なかった。外野手兼投手の三丸らを含め、大量失点の心配がないのは大きな強みだ。
 昨季から大幅に入れ替わったバックは、県大会は1失策だけで堅実に守った。二遊間は川原、長船の1年生コンビ。扇の要となる捕手山田、俊足の中堅立石莉ら2年生が冷静な指示で引っ張れるか。初戦から攻撃力がある大分舞鶴とぶつかるが、エースの言葉通り、守備で崩れず乗っていけば、平山監督が主将を務めた1997年春以来の九州制覇も期待できる。
 カギになるのは打線。県大会は準々決勝で大村工にタイブレーク2-1で辛勝し、準決勝は主将の4番加藤が全4打点を挙げ、決勝は初回に三丸の適時打で奪った1点を守り抜いた。チーム打率は3割2分6厘。計19犠打を絡め、安定して好機をつくっているだけに、そこからの勝負強い一本が大事になってくる。

■海星 「粘れる守備と攻撃」を
 県大会は決勝こそ4安打完封負けを喫したが、準決勝までは毎試合2桁安打を記録し、チーム打率の3割3分3厘は長崎日大を上回る。初戦から全国常連の明豊が相手で、好左腕を擁する興南(沖縄)なども同パート。厳しい戦いが予想されるものの、攻守両面で打開していくだけの練習を重ねている。
 攻撃を引っ張るのは夏もスタメン出場した村田と田中、永田の1~3番。それぞれ3割後半から4割台の打率に加え、抜群の機動力を誇る。県大会は4試合で初回に先制し、チームを勢いづけた。同じく昨季も主力だった池田がチームトップの4割4分4厘で中軸に待つのも頼もしい。下位打線がさらに機能すれば大量得点の爆発力がある。
 バッテリーは前チームから入れ替わったが、県大会はチーム防御率1.66と及第点の成績を残した。最長19回1/3に登板したエース加茂を筆頭に、大川、奥野の2年生のほか、決勝で初先発して最速144キロをマークした1年生の陣内も楽しみな存在。例年、強打の印象が強い一方で、バックもよく鍛えられている。守備でいいリズムをつくって攻撃へつなげたい。
 昨秋は九州大会準決勝で沖縄尚学に逆転サヨナラ負け、今春の甲子園は8強を前に広陵(広島)に2-3で逆転負けした。夏も県大会決勝で創成館に1点差で競り負けるなど要所で悔しい思いを重ねてきた。それを肌で知る主将の田中は「初戦からしびれる試合になる。粘れる守備と、粘れるバッティングでしっかり戦っていきたい」と闘志を燃やしている。

打力に加えて抜群の機動力を誇る海星の田中=長崎市、県営ビッグNスタジアム

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