佐野・旧飛駒小の名馬陶壁 「生唼」を保存、公開へ 跡地取得企業が表明

取得企業の社長が保存と公開に言及した旧飛駒小の玄関を飾る「生唼」の陶壁

 【佐野】地元などの要望がかない、旧飛駒小の玄関を飾る平安末期の伝説の名馬「生唼(いけずき)」の陶壁が現地保存される。同校跡地を取得した電子機器輸出入・販売などのピーアンドジー(東京)の木原東日(きはらとうにち)社長は、下野新聞社の取材に「貴重な作品だと承知している。これからも地域の皆さんに気軽に見てもらえるようにしたい」などと述べ、保存・公開していく考えを明らかにした。

 800年以上前の源平合戦に登場する「生唼」は、飛駒の産との伝承がある。同校の「生唼」の陶壁は、当地に築窯し、昨春81歳で他界した陶芸家五島保孟(ごとうやすたけ)さんが「子どもたちの守り神に」と心血を注ぎ、1989年から4年をかけ制作した。

 鮮烈な青色が特徴の体高2メートルを超える雄姿は、長年児童たちの安全を見守ってきた。しなやかな筋肉に浮き上がる血管など、その造形の精緻さは獣医師を驚嘆させたほどで、今も生気に満ちている。

 しかし同校は3年前に統廃合され、市は建物などの跡地を有効活用するため公募を行い6月、ピーアンドジーと契約した。同社は「人材不足解消に向け、外国人を対象にした日本語教育を行う施設として活用する」としている。

 こうした中で、地元を中心に「地域の宝」として陶壁の保存を求める動きが広まり、関係者によるネット署名では1万人を大きく超える賛同があった。

 ピーアンドジー側は市に対し陶壁の保存に協力する意向を示していた。同社の木原社長は「立派な芸術品でもあり、皆さんの思いと共に大切にしていく」などと地域への配慮を強調した。

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