野尻智紀、ローソンとのアウトラップでの攻防は「すごくイライラした」【SF第8戦鈴鹿予選会見】

 2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦鈴鹿の公式予選が終了し、今季4度目となるポールポジションを獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)、2番グリッドを獲得した宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、そして3番グリッドを獲得した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が会見に出席し、予選を振り返った。

■野尻智紀(TEAM MUGEN)

予選ポールポジション
タイム:1分37秒292

「赤旗が出る前、シケインまで来ていたので『このままいけば』みたいなラップが刻めていたので、(赤旗が導入された際には)『ここで仕切り直しか』と、フラストレーションもありました」

「幸い、僕らにはまだ使える程度のいいタイヤがあったので、Q2リスタート後には(赤旗導入時とは)違ったタイヤ(スクラブ済)をチョイスして、また当然残り時間もわずかなので、計測1周目からアタックに行かなければなりません。どうにか温めないといけない僕と、すでに温まったタイヤで再開後のアタック臨んだリアムがいて、彼はできることなら後続を抑えながら、僕たちタイヤを変えた組に対し、調子を出させたくないという思惑もあったと思います」

「そういった思惑が交錯した、アタックまでの流れだったのかなというふうに思います。まぁ、最終戦らしいという気もしています。多少アンフェアだと僕の中で思うところもありますけど、そういうのは置いておいて。最終戦ならではのバチバチした雰囲気も楽しめる要素になるかなと思います」

「いずれにしてもポールを獲るということが今週末をスタートさせる上で非常に重要なところだったので、少しはホッとしていると言いますか。ただ、宮田選手がすぐ隣にいるので、あまり状況は変わらなかったなという感じですね。もし、宮田選手も(予選で)ポイントを獲っていなければ状況は変わったかもしれませんけど、まだまだ彼の優位は変わらないので、決勝は負けないように頑張らないといけないなと思います」

「(Q2ラストアタック前、ローソンに前に出られたのはどこで?と問われ)1コーナーと2コーナーの間ですね。僕も右のミラーを見て『あれ?いないなぁ』なんて思っていたらすでに左側(アウト側)にいたような状況で、完全に抜きに来ているなという感じです」

「(ペースを落としたローソンに追いついて、ローソンの後ろでイライラしているふうに見えたのですが、と問われ)確かに、すごくイライラはしていました。バックストレートですごく接近して、そこも映像に映っていたのでしょうかね。あれもたぶん映像に映るだろうなと思って、(ローソンが)それをするなら僕だってそういうトラップを仕掛けるじゃないですけど、意地悪なことを彼にしなくちゃいけない、というところもあって」

「あのまま後ろで大人しくいるだけでは、自分のレースは終わってしまう。とか考えながら近い距離感で走ってはいましたけど、正直ぶつかりそうでしたね(笑)。危ないなぁと思いながらやってましたけど」

「まぁ、レースが終わったら和解はしたいなとは思いますけどね」

2023スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2023スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿 野尻智紀(TEAM MUGEN)

■宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

予選2番手
タイム:1分37秒599

「予選を2番手で終えることができたのは素直に嬉しいです。当然ポールポジションを目指してはいましたけど……まぁ、無理なので。(決勝を)頑張ります」

「(Q2赤旗後は)アウトラップでしかタイヤを温められなかったので、結構自分のなかでは『温めにいかなきゃいけないな』という意識で走っていました。時間がないので、みんなシケインあたりではトレイン状態になってしまい、温めも不十分でしたね」

「アタック周のセクター1では(温めが)ちょっと足りない感じがしたし、セクター2に入ったところで目の前の福住(仁嶺)選手がデグナーひとつ目で飛んでいったので、『また赤旗になるのかな』と思ったままデグ1、デグ2と走ったので、完全にクリアにも行けてないです」

「ちょっとイレギュラーではありましたが、このポジションは予想外でした」

2023スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

予選3番手
タイム:1分37秒637

「予選結果としては良かったと思います。僕たちDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台はQ2の赤旗が出たタイミングで、ちょうどセクター1を通過したか、してないかくらいのタイミングだったので、(Q2再開にあたって)タイヤをどうするのかは悩みました。ギリギリのタイミングで僕は新品をチョイスして、太田選手はユーズドでいきました」

「結果だけ見ると、どっちも似たようなものだったし、僕のフィーリングとしてもセクター1足りなかったなとかいろいろありましたが、前戦もてぎで空を飛びまして、クルマが全損したなかでまた新たにクルマを組んでいただいて、そこからの3番手なので。チームのしっかりとした仕事に対し、決勝の結果で恩返しができたらと思います」

「(Q2の赤旗は)僕らダンデライアンの2台は、セクター1を通過したくらいで赤旗が見え(てアタックを中断し)たので、正直タイヤ選択はかなり悩んだのですが、なんとなく『新品で行っちゃえ!』と」

「最初、エンジニアの杉さん(杉崎公俊氏)はユーズドの方がいい、という感じだったのですが、本当に悩みました。あと、野尻さんがタイヤ換えているのが(映像で)見えて、リアムは変えていなくて、莉朋と平川(亮)さんが換えていて……と結構換えてる人がいたので、『換えている人が多いならその中で前に行けるように』という考え方に変えました。で、(ニュータイヤで)行ってみたら意外と行けた感じです」

2023スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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