ハイパーカーが購入可能!? フェラーリ、サーキット専用モデル『499Pモディフィカータ』を発表

 10月29日、フェラーリは競技には使用できないサーキット専用モデル『フェラーリ499Pモディフィカータ』を発表した。WEC世界耐久選手権に参戦するフェラーリ499Pをベースとしており、ジェントルマンドライバーを対象。専用開発タイヤ、フルタイムアクティブ4WD、プッシュ・トゥ・パスなどを採用。ハイパーカーの興奮をジェントルマンドライバーに提供する。

 2023年、WECに参戦しル・マン24時間を制するなど、フェラーリのスポーツカーレース最高峰復帰の記念モデルとなったフェラーリ499Pの参戦を記念し、非競技用途のサーキット専用モデル『499Pモディフィカータ』が誕生した。このモデルは499Pの「大幅改造モデル」とされ、「ごく少数のお客さまを対象」とする。

 当然非競技用のサーキット専用モデルだけにハイパーカー規定は適用されず、フェラーリのエンジニアリングチームは499Pに大幅な改造を加え、パフォーマンスをより引き出しやすいように仕上げた。

 変更点としては低速での電動アクスルと四駆の稼働を可能にしたこと、120kwの出力増加をドライバーが選択できるプッシュ・トゥ・パス機能の搭載など多岐にわたる。WECではミシュランを履く499Pだが、この499Pモディフィカータはピレリの専用タイヤが採用される。サスペンションのセットアップや電子制御、エンジンマップ等も改められた。

 パワートレインはV6エンジンと電気モーターが組み合わされ、レギュレーションの制約がないこともありシステム全体の最高出力は640kwに達する。ICEはフェラーリ296 GT3に搭載するパワーユニットと共通のアーキテクチャをもつが、フェラーリのエンジニアは専用のソリューションを開発した。

 シャシーはもちろんカーボン製モノコックで、プッシュ・トゥ・パスなどWECのレギュレーションに縛られない改良が施された。またピレリの専用タイヤはF1の技術から生まれ、ジェントルマンドライバー向けにドライバビリティを強調し、ハンドリングのハンドリングのフィードバックを最大化した。一方で、499Pモディフィカータのコクピットは499Pと同じで、ドライバーはWECと同じ興奮を味わうことができるという。

 フェラーリでは、歴代のF1マシンを購入したクライアント向けに『F1クリエンティ』というシステムが存在するが、フェラーリは2024年からコルセ・クリエンティ部門の中に『スポルト・プロトティピ・クリエンティ』というプログラムをスタートさせる。専用のサーキットイベントを開催し、499Pモディフィカータのオーナー向けにメンテナンスや技術・輸送面のサポートなど、フェラーリによる完全な支援が行われる。

 価格は記載されていないが、まさに限られたオーナーだけがハイパーカーの興奮を味わうことができそうだ。

フェラーリが少数生産するサーキット専用モデル『フェラーリ499Pモディフィカータ』
フェラーリが少数生産するサーキット専用モデル『フェラーリ499Pモディフィカータ』
フェラーリ499Pモディフィカータのコクピット
フェラーリ499Pモディフィカータのパワーユニット

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