真剣がキラリ、荒獅子が躍動 秩父で「浦山の獅子舞」奉納 山間の集落で400年続く伝統、元住民らが守る

勇壮に舞う獅子舞=28日午後、埼玉県秩父市浦山の大日堂

 埼玉県秩父市浦山地区の大日堂で「大日如来縁日」が始まり、荒獅子たちが勇壮活発に舞う「浦山の獅子舞」(県指定無形民俗文化財)が奉納された。急崚(きゅうしゅん)な山々に囲まれ、普段はひっそりとしている境内は、28日から2日間、大勢の参拝客でにぎわう。

 市街地から10キロ以上、武甲山の裏側に位置する浦山地区には、かつて農林業従事者らが計5集落に居住していたが、現在は3集落に30世帯ほどに減少した。同獅子舞は約400年前から続く行事で、毎年、都市部に移り住んだ元住民らが駆け付け、伝統を守っている。

 浦山大日堂獅子舞保存会のメンバーは演目「剣がかり」を披露。真剣をくわえた獅子は、笛の音色に合わせて本堂を回り、腹の前に付けた太鼓をたたきながら躍動感あふれる舞を披露した。獅子舞を授業で学んでいる市立影森中学校の生徒も輪に加わった。

 同保存会の浅見明会長(65)は「10年先も伝統が続くように、地域の中学生らに指導していきたい」と話していた。

 獅子舞は29日も奉納され、悪魔に扮(ふん)した役者が、集落の家を巡行する「悪魔払い」も行われる。

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