Jリーガーから世界的レジェンドまで!馬主としても活躍したサッカー選手6選

フランス1部PSGのホームスタジアム、パルク・デ・フランスから2㎞程離れた場所に位置するロンシャン競馬場。今月ここで開催されたイベントが、競馬界最高峰のレースとの呼び声も高いGⅠ・凱旋門賞だ。

そんな凱旋門賞の直後に開催されたGⅠ・オペラ賞に、ドイツから参戦していたマスコーカという馬がいる。この馬の馬主を務めるのはなんと、ベルギー1部シント=トロイデンやイングランド2部ハル・シティにも所属したドイツ1部ホッフェンハイムFWニック・プロシュヴィッツだ。

今回は彼のように馬主としても成功を収めたサッカー選手を紹介する。

今年躍進したマスコーカの馬主

ニック・プロシュヴィッツ

所属:ホッフェンハイム

代表的な所有馬:マスコーカ

プレミアリーグ、ブンデスリーガでの出場経験もあり、サッカー選手としても一定の成功を収めた同選手のプロシュヴィッツは、馬主としてのキャリアで今年に大成功を収めた。

所有馬であるマスコーカはドイツのオークスであるGⅠ・ディアヌ賞を今年勝利し、凱旋門賞当日のフランスに遠征した。

今年のオペラ賞はドイツ馬に不利な良馬場の高速決着だったこともあって10着で敗れたが、マスコーカはまだまだこれから素晴らしいキャリアを積み上げていくこととなるだろう。

自身の苗字を冠する厩舎が

アントワーヌ・グリーズマン

グリーズマン(左から3人目)

所属:アトレティコ・マドリー

代表的な所有馬:トルニブッシュなど

アトレティコ・マドリーFWアントワーヌ・グリーズマンもEcurie Griezmann(グリーズマン厩舎)名義で馬主活動を行っている。

2018年にフランスのGⅢ・パン賞に挑戦した日本馬ジェニアルを破ったトルニブッシュを筆頭に、多くの活躍馬を所有している。ナツカシやヨロコビといった日本語由来の馬名も見られる。特にナツカシは2021年に凱旋門賞に登録し、その際は日本国内の競馬メディアでも多く報じられた。

また“グリーズマン厩舎”の馬たちの活躍はインスタグラムアカウントから見ることができる。なお、特に関係はないが日本では今年「グリーズマン」という名前の2歳馬が登録されている。

名指揮官は伝説の名馬のオーナー

アレックス・ファーガソン

所属:引退(マンチェスターユナイテッドなど指揮)

代表的な所有馬:ロックオブジブラルタル

馬主を務めるサッカー関係者として最も有名な人物といえば、サー・アレックス・ファーガソンはその一人だろう。彼の所有馬の1頭であるロックオブジブラルタルは当時の世界記録であるGⅠ7連勝という記録を残し、競馬史に名を残す名スプリンターとなった。

だが、ロックオブジブラルタルは同時に、「最もサッカー界に影響を与えた馬」でもあるかもしれない。本馬を共同所有していたアイルランドの大牧場主ジョン・マグナーは、かつてマンチェスター・ユナイテッドの株の約三割を保有する大株主でもあった。

しかし本馬の種牡馬入りにあたりファーガソンとマグナー氏の間で所有権をめぐり法廷闘争が発生。当時の主将であるロイ・キーンもファーガソンに訴訟を取り下げるよう説得したが、その努力も失敗に終わったようだ。

結果的に両者は和解したものの、マグナー氏はマンチェスター・ユナイテッドの株式を手放し、その株式はグレイザー家により買収された。その後のグレイザー体制のユナイテッドについては、サッカーファンの皆様も知るとおりだろう。

スピードスターは騎手デビューも果たす

マイケル・オーウェン

所属:引退(リヴァプールなど)

代表的な所有馬:ブラウンパンサー

先述のファーガソンと並んでイギリスサッカー界でも屈指の競馬好きと知られるのが元イギリス代表のマイケル・オーウェンだ。

現役時代から馬主としても有名だったオーウェンは、引退後は自身の厩舎「Manor house stable」まで開業しており、自身の生産・調教馬として日本でいう菊花賞にあたるアイルランドのGⅠ・アイリッシュセントレジャーを制したブラウンパンサーを輩出している。

彼は日本の競馬もチェックしているようで、2013年の有馬記念の際には同レースで圧勝した三冠馬オルフェーヴルに対し「What a horse(なんて馬だ)」と投稿している。

また2017年にはロンドンに所在するアスコット競馬場で開催されたチャリティーイベントで騎手デビューも果たした。

南米を代表する馬主

アルトゥロ・ビダル

所属:アトレチコ・パラナエンセ

代表的な所有馬:イルカンピオーネ

アルトゥロ・ビダルはサッカー界で最も馬主として成功した人物の一人だろう。

日本ではあまり知られていないが、チリは世界有数の競馬強豪国。そんな母国チリにおいて多数の競走馬を所有している彼は、ナシオナル二冠馬イルカンピオーネをはじめ、多くの活躍馬を所有する国内有数の大馬主だ。活躍馬の中には、かつて日本で活躍したシーキングザダイヤの産駒としてGⅠ馬を制覇したソーノビアンコネロなどもいる。

しかし複数の現地メディアによると、現在彼は「競馬に関して嫌なものを見た」として自身の競馬事業の売却を検討しており、馬主としてのキャリアは終わりに近づいているようだ。

Jリーグ屈指の競馬好き

遠藤保仁

所属:ジュビロ磐田

代表的な出資馬:スリープレスナイト

日本のスポーツ選手では佐々木主浩や山本昌とプロ野球選手の馬主が有名だが、競馬好きのサッカー選手をあまり聞かない。それでもJリーグで屈指の競馬好きとして知られる選手が、J2ジュビロ磐田所属の元日本代表MF遠藤保仁だ。

福永祐一元騎手ら競馬関係者との交流があることでも知られ、競馬関連でのメディア、イベント出演も多い同選手は、サンデーレーシングの会員として一口馬主をしていたことがある。

GⅠ・スプリンターズSを制したスリープレスナイトは遠藤が出資した1頭だ。本馬は2008年に破竹の5連勝でGⅠを制し、同年のJRA賞最優秀牝馬に選出された。奇しくも遠藤も同じ時期にガンバ大阪をACL制覇に導く大活躍で年間最優秀選手に選出されており、同年は所有馬の成績も自身のキャリアも大成功だったと言えるだろう。

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その後のクラブW杯ではマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督との「馬主」対決が実現している。

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