〈金沢マラソン〉4年分の全力エール 声援解禁、沿道に人人人

コース沿いで途切れることなくランナーに大声援を送る観衆=金沢市小坂町

  ●「頑張れ」とハイタッチ

 いつもの金沢マラソンが帰ってきた。29日に開催された第9回大会は、新型コロナの5類移行で4年ぶりに沿道応援の自粛が解除され、約15万4千人(主催者発表)の大声援が秋空に響いた。コース沿いを途切れることなく人が埋め、最後の1人が通過するまでランナーを鼓舞した市民らは「やっぱり声を出して応援するのは楽しい」と笑顔を見せ、エールを受けたランナーも「これぞ金沢」と戻ってきた熱気に感謝した。

 2カ所の応援ステージ、20カ所の応援スポットを始め、4年ぶりに復活した「沿道応援サポーター」の学童野球チームなどがスタートからゴールまで沿道に連なり、大会の特長の一つである切れ目のない応援をたっぷりとランナーに届けた。

 ランナーは「頑張れ!」「ファイト」の声に「ありがとう」と手を振り、子どもらとハイタッチを交わしながら走り抜けた。ランナーを楽しませようと仮装をしたり、メッセージボードを掲げたりするグループのほか、自転車で知人のランナーを追う人も見られた。

  ●「追っかけ」推奨

 組織委は応援スポット5カ所を巡りながらレースを見守る「追っかけ応援」を推奨、金沢駅とフィニッシュ地点を結ぶ無料シャトルバスを運行した。

 金沢駅周辺などで声援を送った金沢市北安江1丁目のパート木村裕美さん(71)は、第1回から毎年沿道に駆け付けているとし「声が出せると応援しがいがある」と笑顔を見せた。小坂町交差点付近では会社員斉藤章さん(52)=同市御所町1丁目=が「ランナーと沿道の一体感が戻ってきてうれしい」と喜んだ。

 今大会で新たにコースに組み込まれた金沢外環状道路海側幹線(海側環状)にも人だかりができた。志賀町から訪れた浜野万菜さん(22)は、以前ランナーとして参加したことがあり「『頑張れ』との声が涙が出るほどうれしかったから、たくさん応援したいと思って来た」と振り返った。

 ランナーからは、熱いエールに感謝する声が相次いだ。金沢市米丸地区の地域ランナーを務めた会社員吉田篤さん(46)=同市東力1丁目=は「『米丸頑張れ』の声援で足が動いた。おかげで無事ゴールできた」と汗を拭った。

  ●海外勢にも「レッツゴー」

 海外からの受け入れも4年ぶりで米国や台湾のランナーが参加した。城北市民運動公園では、金沢市の姉妹都市である5都市のランナーを友人ら計9人が「レッツゴー」と後押しした。

 米バファロー市のレパルティン・ロバートさん(28)は「走る人も応援する側も楽しめる素晴らしい大会だ。来年は出場したい」と話した。

 大会組織委員会長の村山卓金沢市長は「来年は10回の節目。新しい取り組みを考えたい」と語った。

沿道からは絶えず明るい声が飛んだ=金沢市田上さくら3丁目

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