オンラインゲーム、子どもや若者のトラブル深刻化 40万円以上の被害も…その手口は

オンラインゲームのアカウント売買を巡るトラブルに注意を促す福井県警作成のチラシ

 子どもや若者のオンラインゲームを巡るトラブルが深刻化している。福井県警にはゲームアカウント売買に関する相談が増えており、40万円以上をだまし取られる被害も。スマートフォンの普及を背景に「子どもへの情報モラル教育はもちろん、保護者もオンラインゲームの危険性を認識することが重要」と県警は指摘する。

 今年8月、オンラインゲーム内のアイテムを他人名義の携帯電話決済サービスで購入したとして、電子計算機使用詐欺の疑いで奈良県の男(19)が書類送検された。敦賀市の男性がゲームアカウントを売る際、決済サービスを解除し忘れていたことが要因となった。

 オンラインゲームでプレーヤーが経験値を上げたアカウントの売買は広く行われており、買い手と売り手をマッチングさせるサイトも多い。県警サイバー犯罪対策課によると、アカウント売買を巡る相談件数は昨年1年間で6件だったが、今年は9月末時点で16件に上る。そのうち12件は20代以下の相談者だった。

 5月には、アカウントを売ろうとした県内の20代女性から、40万円以上だまし取られたとの相談があった。売買サイトに出品したところ、買い手側から別のサイトで購入したいとURLが送られ、売買が成立した後、売上金を引き出そうとするとサイトアカウントが凍結。サイト管理者に連絡後、凍結解除の名目で現金をだまし取られた。誘導されたサイトは金をだまし取るための偽サイトの可能性が高いという。

 同じ手口で県内の高校生も7月、3万5千円をだまし取られた。他にも「SNSでやりとりし代金を支払ったが、IDやパスワードを教えてもらえない」「購入したのに使用できないアカウントだった」といったトラブルが起きている。

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 県消費生活センターにも相談が寄せられている。19歳以下のオンラインゲームに関する相談件数は2021、22年度ともに13件。ほとんどが子どもが保護者の許可なく課金してしまったというトラブルだった。センターは共通の問題点として▽決済時のパスワード入力設定や、子どものスマートフォン機能を制限する「ペアレンタルコントロール」が未設定▽クレジットカード管理が不十分▽子どもにお金を使っている認識がない-を挙げる。

 大半のゲームは利用規約でアカウント売買を禁止しており、県警は「後ろめたさから相談しづらく、トラブルに遭った人はもっと多い可能性がある」とみる。サイバー犯罪対策課の山内栄一次席は「オンラインゲームでは知らないうちに犯罪に巻き込まれたり、犯罪行為をしてしまうケースがある。未成年のプレーヤーも多く、保護者はゲームの利用状況や決済方法を理解し、日頃から利用ルールを話し合ってほしい」と呼びかける。

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