激闘を制して優勝のマルティン「スプリントの優勝は楽しめなかった。やっとよく眠れる」/第17戦タイGP

 MotoGP第17戦タイGPの決勝レースが、チャン・インターナショナル・サーキットで行われ、優勝したホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)、2位のフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、3位のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が会見に出席。激しい優勝争いとなった決勝レースを振り返った。

■ホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング) 決勝:優勝

「(今回は)僕の人生のなかでもベストレースのひとつだと思う。いつもは激しいバトルになると、ハードブレーキング、オーバーテイクで苦しむんだけど、今日はブラッド(・ビンダー)とまた争う、ポジションを奪還できる自信があったんだ。予想外だったよ」

「レース終盤に彼らが僕に接近してきたとき、僕よりも速かったと思う。僕がタイヤをマネージメントしているところだったとしても、彼らのほうがちょっと強かったけど、何度も反撃できたんだ。ブラッドは僕たちを引き離していこうとしていた。でも、僕はわずかなギャップをキープできた。僕は20周にわたってレースをリードしていたけど、差は0.1秒だった。メンタル的に厳しかったよ。でも、最後まで集中力をキープすることができた」

「7コーナーから彼(ビンダー)のエンジンの音が何度も聞こえていた。だから、彼はそこで仕掛けてくるな、と思っていたよ。僕はそのコーナーでタイヤが限界だったから、彼のほうがグリップがいいのだろうと考えていた。でも、オーバーテイクされて彼が僕の前に出ると、彼のリヤグリップが限界だとわかったんだ」

「というわけで、1周は僅差をキープして、そのあとにオーバーテイクした。フロントタイヤの温度をあまり上げたくなかったからね。今日はトップでフィニッシュできてホッとした。昨日は優勝を楽しめなかった。今日に集中していたんだ。僕、4日間寝ていないんだよ。ようやく今夜はよく眠れる」

「ペコ(フランセスコ・バニャイア)もブラッドも、ブレーキングでとても強いと思う。だから、バトルで彼らに勝てて信じられない気持ちだよ。もちろん、大きな自信になっているし、ブレーキングでとても強いライダーのひとりになれたと思う。今日は少しフロントタイヤをマネージメントしたのでそこまで深いブレーキングではなかったんだけど、ハードブレーキングが必要になると、優勝できる自信を持てたんだ」

「うれしいよ。目標はポイント差を詰めることだったからね。オールタイムラップ・レコードを更新して、ポールポジションを獲得して、スプリントレースと決勝レースで優勝した。素晴らしい気持ちだし、とてもうれしい。実のところ、(チャンピオン争いについて)ちょっとプレッシャーを感じ始めていたけど……。でも、大きな目標としてはポイント差を挽回することだったんだ。ほかのレースで犯したミスはきついものだったけど、それが僕を強くしてくれたんだ」

■フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム) 決勝:2位

「完ぺきなスタートが切れてとても満足しているよ。それに、リヤタイヤをコントロールしてレースができた。1周目が終わらないうちにバトルが始まり、たくさんの接触があった。非常に厳しい状況だったんだ。毎回ギャップを詰めるのにかなり攻めていて、リヤタイヤをマネージメントする時間はなかった」

「ようやく上位グループに追い付いたときには、リヤタイヤはベストな状態ではなかった。でもまあ、ポジションをあげて、ブラッドがグリーンに接触した(トラックリミットを超えた)から2位で終えられたんだ。レースを考えれば、悪くはなかったと思うよ」

「(最終ラップの最終コーナーで)オーバーテイクまでいけたら、ここ数年で最高のものだったと思う。最終コーナーでアウトからふたりをオーバーテイクするのはすごいことだからね。でも、アウト側にいれば、イン側にいるライダーがブレーキを離して少し接触があるのが普通だ。それはまあ予想していたことだけど、もうちょっと前なのかと思っていたんだ。このオーバーテイクが少し結果に影響したね。でも、全体的にはとても満足だよ」

「この3連戦前は3ポイント差で、今は13ポイント差。悪くない。それに、やっと自分のフィーリングが戻ってきたことがポジティブな点だ。今日はハードブレーキングでたくさん戦ったし、週末全体で力強く走れた。昨日だけ、すごく怒りを感じている。スタートをミスしてしまい、かなりのポイントを失ってしまった。だから、タイムアタックやスプリントレースの1周目について改善しないといけない」

■ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)/決勝:3位

「今朝起きて、ラグビーワールドカップで南アフリカが優勝したのを見たんだ。今日はちょっと、『勝つか負けるか』だと思った。もちろん全力を尽くしたよ。ホルヘはすごい走りだった。タイヤをキープしながら彼の後ろについて走るのに全力を尽くそうとしていて、確かにそうしていた」

「でも2度目に彼を抜くと、ちょっとタイヤのグリップが落ちているとわかったんだ。トリッキーだったよ。最終ラップ、(ホルヘに)ものすごく接近すれば、なんとかしてみせる、と考えていた。でも、4コーナーで前の周より熱くなってしまい、フロントがはらんでグリーンに接触してしまったんだ。(2位という)ポジションを失うのはクールとは言えないけど、最後には表彰台に立てたし、自分の全力を尽くしたわけだから、あまり文句は言えないね」

「(リヤタイヤについて)僕が気になった最も大きなこと。彼を抜いた周は問題なかった。その次の周だった。リヤから振動が来ているとわかった。だから、おそらくベースとなるラバーまで(消耗が)進んだのだろうと思い、そこからは完走を目指し、できる限りで戦うだけだった」

「(最終ラップでは)それまでの周を踏まえて、最も大きなチャンスはセクター3だとわかっていた。トライしてみたけど、(4コーナーで)グリーンに接触してしまった。今日はそうなるはずじゃなかったんだけど。でも、すごく満足しているんだ。確かに完ぺきなレースではなかったけど、自分たちの大きな強みがわかったから。ウイークポイントをほんの少し強くできれば、よくなると思う」

最終ラップまで三つどもえの優勝争いとなった

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