青森県病・市民病院統合、焦点は立地場所 31日、見直し有識者会議

 青森県立中央病院(青森市東造道)と青森市民病院(同市勝田)の統合新病院整備について、従来の検討内容を見直す有識者会議が31日に第1回会議を開く。大きな焦点となるのは立地場所を巡る議論で、今後の青森市のまちづくりにも大きな影響を及ぼす。病床規模や開院時期、災害リスクへの考え方など、想定される論点は多岐にわたる。

 ■ 立地場所

 両病院の職員でつくる検討チームがこれまでに立地場所の候補地として挙げてきたのは▽旧青森商業高校・県病敷地エリア▽青い森セントラルパーク▽県総合運動公園-の3カ所。現在の県病の敷地面積5.5万平方メートルより広く、土地の確保が容易で早期建設につなげられる場所として、市内の公有地3カ所を候補に選んだ。

 3カ所はいずれも災害時の被災リスクを抱える。青い森セントラルパークは、堤川・駒込川の洪水浸水想定区域内にある。宮下宗一郎知事は、青い森セントラルパークの検討内容を巡り「周辺が浸水した場合に救急車がたどり着けるか」「市内で最大規模の拠点となる施設。駐車場も含めて面積が狭くないか」などと課題を指摘する。

 このほか旧青森商・県病エリアは、日本海溝を震源とする巨大地震が発生した場合の最大津波浸水区域に該当する。県総合運動公園の敷地近くには、活断層帯「青森湾西岸断層帯」に含まれる入内断層がある。

 宮下知事は青森市に対し、まちづくりの観点から立地場所を主体的に検討するよう要請。西秀記市長は、3候補地は想定の中に置きつつ別の場所があるかについても検討し、有識者会議に諮る。

 ■ 病床規模

 統合新病院の検討チームが推計値として示している病床数は「800~900床」。この病床数は、東北地方では東北大学病院(宮城県、1160床)、太田綜合病院付属太田西ノ内病院(福島県、1086床)、岩手医科大学付属病院(岩手県、千床)などに次ぐ大きさとなる。

 800~900床の規模は、現行の2病院(県病684床、市民病院459床)を合わせた病床数から、人口減少を踏まえて設定した推計値。ただ、関係者の中からは、今後の医療需要に対して規模が過大にならないかとの意見も挙がっていた。

 宮下知事は「人口減少下で本県にふさわしい(規模の)病院なのか。この病床数の中で機能をどう分担して、2病院の機能を維持、高度化していくのか」との側面から、議論が不十分との認識を示す。

 ■ 開院時期

 統合新病院の整備は、県の医療施策と整合性を取る必要がある。県内の基準病床数を定める県の次期保健医療計画(2024~29年度)や、病床機能や病床数を再編する地域医療構想(25年度まで)は、統合新病院の開院時期や病床規模の設定にも関わってくる。

 事務レベルの協議では8年後の「31年開院」という案が検討されてきたが、宮下知事は「もう少し早いほうがいいのではないかとも考えている。地域医療構想の期間とも整理が必要」と述べている。

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