「青森で応援してくれる方々がいたから、今回の結果につながった」。29日のホーム最終戦で金沢を下し、J1昇格とJ2優勝に花を添えた町田の黒田監督は試合終了後の会見で、監督・教員として青森山田で過ごした28年間の経験と苦労が糧となり、今の戦いに生きている－と強調した。
「高校サッカーでは、ある程度結果を出してきた。だがそれがプロの世界で通用するのか」。就任当初は悩み、周囲からもプロでの経験不足を理由に、疑問視する声が聞こえてきた。だが「逆にそれがモチベーションになりパワーとなった」。
向き合う相手はサッカーに人生を懸けるプロ。青森山田時代に磨いた「人にものを伝える力や選手たちに実践させることが、プロでも通用することが分かった」と手応えをつかんでいった。
「寄り添いリスペクトしながら接し、言葉も選んだ」と話す黒田監督に対し選手も応えた。メンバー外の選手が「昔はいじけたり頑張らない自分がいたが今年は違う。皆で戦っている」と口をそろえるなど、徐々にチームの一体感は増したという。
第二の古里青森について「いろいろな先生方に育てていただき、何よりかわいい教え子に出会って培ったもの、学んだことが今年一年に集約された」と話し、感謝の気持ちは尽きない。青森山田で指導した藤原、宇野、バスケスの3人に対しては「高校生のような扱いはできなかった」と言う一方で「こそっとアドバイスしたことも」と、「親心」をのぞかせる一面も見せた。
