本物じゃないの?リアルすぎる「木彫り作品展」、大阪で開催中

身近な食べ物を木彫りで表現し、そのリアルさがSNSで話題の木彫りアーティストによる展覧会『キボリノコンノ展』が、「大丸梅田店」(大阪市北区)で開催中。会場内はすべて写真撮影が可能で、来場者はスマホを片手に「本物みたい」と作品鑑賞を楽しんでいる。

大福や新作・シュークリームは触るのもOK!

■ 卵の透明感まで…リアルすぎる木彫り

2021年に趣味で木彫りを始め、今春に公務員からプロのアーティストに転向したキボリノコンノさん。「あっと驚くもの」をテーマに、木とは全く違う質感や1番おいしそうな瞬間を表現した数々の作品は、実物を見ながら電動ルーターや彫刻刀で形を再現し、ニスを使って光沢感を出すなど着色も重要ポイントという。

作品集『キボリアル』と絵本『なにができる?』の出版を記念した同展は、粒のネバネバ感が目を引く「納豆」や透明感に驚かされる「生卵」など代表作・約80点が集結。そのリアルさをさらに楽しむべく、「撮影のコツ」が書かれた写真撮影おすすめのコーナーや本物の石の中から木彫りを探す難解なクイズ展示もあり、一部の作品は触ることも可能だ。

初日に在廊していたキボリノコンノさんに解説してもらったところ、「例えば『味付けのり』は実際の両目で見ていると、全体の木目が見えます。でもカメラを通して2Dになると台との距離感がなくなり、フィルム(袋)が透明に見えますよ」と「錯覚」による見比べが魅力の作品も。

■ 「木が何かに変わっていく」過程も表現

角材がカステラになりたい気持ちを表現し変化していく『カステラになりたい木の気持ち』

また、「過程」を感じられる作品も多数。細長い木の角材から1切れのカステラ、角材が徐々に削られ鉋屑がかけられてたこ焼きなど、敢えて形や着色が未完成のものと並べることで「物語性」が色濃くなる印象だ。SNSで作品を知って以来、大ファンという女性客は「ただ『そっくり』だけじゃなく、木目が見えるのもいいなと。毎回、発想力に驚かされています」と作品に見入っていた。

キボリノコンノさんは「(初開催の)東京会場では絵本を見たたくさんのお子さんが一生懸命、作品を撮影してくれました。雲が何の形に見えるか想像するように、硬い木が何かに変わっていくおもしろさを伝えられたら」と話す。

『キボリノコンノ展』は「大丸梅田店」13階特設会場にて、11月20日までの開催。11月11日は会場での書籍購入者へキボリノコンノさんによるサインを実施。入場料は大人800円ほか。

取材・文・写真/塩屋薫

(C)キボリノコンノ

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