米、AIリスク管理へ大統領令 開発企業に情報提供を義務化

ホワイトハウスで記者会見するバイデン米大統領=25日、ワシントン(ゲッティ=共同)

 【ワシントン共同】バイデン米大統領は30日、人工知能(AI)のリスクを管理するための大統領令を出した。国家や経済の安全保障への影響が懸念される高度なAI技術の開発企業に、安全試験の結果などの情報を政府に提供するよう義務付けることが柱。偽情報の拡散対策で政府公式コンテンツを認証する仕組みも導入、医療や教育での活用促進策も盛り込んだ。開発と利用を管理する国際枠組みの確立へ日本やインドなどとも連携する。

 大統領令は「AIの将来性とリスク管理で米国が世界をリードする」と強調した。米国にはマイクロソフトやグーグルをはじめとした世界的なAI企業や有力な研究機関が集中しており、国際的なモデルとなる可能性がある。連携相手に中国は含めなかった。米政府は11月1~2日に英国が開くAI安全サミットにハリス副大統領を派遣する。

 安全試験の結果は、戦時など重要局面で民間企業を統制する権限を大統領に与えた国防生産法に基づき、AI技術の公開前に提出するよう企業に要求した。従わなければ政府が訴訟を起こすことができる。

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