「在庫足りなく、別の豚出した」  故意性は明言せず 納品業者「渡清」社長が釈明 「白楊豚」に産地異なる豚混入

「白楊豚」を道の駅たかねざわ元気あっぷむらに納入していた渡清=27日午後、宇都宮市東宿郷5丁目

 道の駅たかねざわ元気あっぷむら(栃木県高根沢町上柏崎)で、宇都宮白楊高の生徒が育てた「白楊豚」として産地の異なる豚肉が販売されていた問題で、豚肉を納品していた宇都宮市東宿郷5丁目の食肉加工卸「渡清」の渡辺秀夫(わたなべひでお)社長は30日、下野新聞社の取材に応じ「(白楊豚は)出荷量が少なく、売れるようになり在庫が足りなくなった。その流れで別の豚を(道の駅に)出してしまった」などと釈明した。

 渡辺社長は10月に入り問題を把握したという。「現場に任せていた」とし、白楊豚が市場に出る量と同社が仕入れる量、道の駅に納品する量の差に関しては「細かい点はみていないので(知らなかった)」などと述べた。

 道の駅との取引を始めた2020年以降、白楊豚として納品した1万6800キロのうち約7割が別の豚肉だったとされるが、同社によると、那須塩原市や那須町で生産されたものだったという。

 同社の役員は「(白楊豚と)同等品以上の豚肉を出していた」とし、白楊豚とは産地の異なる豚肉にすることで「利益を得るようなつもりはなかった」と弁明。「宇都宮白楊高の生徒には申し訳ないことをした」と謝罪も口にした。同社は30日、取引先に「お詫びとお知らせ」とする文書を出した。

 一方、白楊豚として別の豚肉を納品したことの故意性については明言を避け「県の調査中なので回答は差し控えたい」などと話した。別の豚肉の納品を始めた時期や、市場から白楊豚を仕入れた量などに関しても同様に返答した。

 問題は10月上旬、外部の精肉業者から道の駅側に「白楊豚の供給量と(道の駅)の消費量に不整合があるのではないか」との情報があり、道の駅側が同社に問い合わせて発覚。道の駅指定管理者の塚原緑地研究所(千葉市)が27日に発表した。県も問題を把握しており、調査している。

 白楊豚

 宇都宮白楊高の生徒が高根沢町内の農場で育てている豚。ランドレース種と大ヨークシャー種を交配した雌豚と、デュロック種の雄豚を掛け合わせた三元豚で、芳賀町のとちぎ食肉センターに出荷され、流通している。高根沢産としてブランド化し生徒たちを応援しようと、町が2017年に「白楊豚」と名付け、町の温泉施設(現在の道の駅)で販売を始めた。

© 株式会社下野新聞社