海自、被害者拒否なのに直接謝罪 セクハラ、防衛相「言語道断」

記者会見する木原防衛相=31日午前、国会

 防衛省は31日、海上自衛隊の部隊で昨年、女性隊員へのセクハラ行為があり、女性が拒否していたのに、加害者の男性隊員に直接謝罪させていたと明らかにした。木原稔防衛相は同日の閣議後記者会見で「被害者の心情に寄り添うことなく、言語道断。法令に基づき厳正に対処する」と強調。ハラスメントへの厳正対処を求める防衛相指示を30日付で出したとして「全ての自衛隊に徹底し、ハラスメントを許容しない環境を構築する」と語った。

 防衛省では昨年6月、元自衛官の五ノ井里奈さんが実名で性被害を訴えたことをきっかけに、同年9月から全自衛隊を対象に特別防衛監察を実施。ハラスメント防止対策が自衛隊の部隊づくりの重点課題となっている。

 防衛省によると、セクハラがあったのは呉地方総監部(広島県呉市)管内にある部隊で、昨年8~12月ごろ。階級が上位で同僚の男性隊員が女性の背後から抱き付いたほか、性的な発言をした。女性は直属の上司に相談。所属部隊ナンバー2の幹部は11月時点で被害を把握していたが、上級部隊に報告しなかった。

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