青森県警察学校、記者が一日体験 重装備訓練に息ゼエゼエ 使命感で励む学生頼もしく

8キロの装備を身に着け、重さ約6キロの盾を頭の上に構える記者
朝のランニングに励む学生たち

 新人警察官が現場に配属される前に、青森県民を守るために必要な知識や技術、心構えを学ぶ県警察学校(青森市新城)。10月中旬、入社約半年の新人記者が一日体験入学し、訓練の一端に触れた。

 警察学校には、大卒課程は半年、高卒課程は10カ月入校。記者は高卒課程35人(男子28人、女子7人)と共に一日過ごした。

 午前6時、起床後すぐに校舎前へ集まり、ランニングが始まった。校舎の周り約700メートルを列になって学生が3周、記者が2周。何とか走り切った記者に、人事担当者が「今日は(周回数が)少ない方だね」と一言。朝から驚かされた。

 午前中は職務倫理や鑑識について学び、午後になると道場へ。警棒などを有効に使って犯人を制圧する方法を実践形式で学んだ。

 最後は訓練で一番厳しいといわれる警備実施。腕や胴体、足に総重量8キロの防具を着ける。ここまでは非日常感で楽しい。校庭に整列すると、重さ約6キロの盾を持ち、まずはこれを構える訓練。学生がピシッと構える中、記者は一瞬しか持ち上げられず、思わず笑ってしまった。

 その後、息をつく間もなく一斉にランニングを開始。学生のかけ声の下、重装備のまま校舎の周りを300メートルほど走ると、呼吸は苦しく、足が前に進まなくなった。「苦しければ持ちますよ」。隣を走る男子学生に手を差し伸べられ、申し訳なく思いつつヘルメットを手渡した。しかし、さらに100メートル走って列から離脱。あまりの苦しさに倒れ込んでしまいたかった。

 それでも最後まで走れたのは、ある女子学生のかけ声が聞こえたからだ。先頭集団から離れて走るその学生は、苦しそうな表情を浮かべながらも、かけ声だけはほかの学生と合わせるように必死に声を張り上げ、前へ進む。最後まで足を止めず走り抜いたその姿に、記者も気合が入った。「公共の安全と秩序を守る」という警察官の使命への強い思いを垣間見ることができた。

 訓練の終わりに「走りできついなら体力が足りない。もっと訓練するべきだ」と学生たちに厳しい言葉をかけた藤田真道教官。「犯人に負けない強い体と心を鍛えるため、心を鬼にして指導している」と胸の内を語った。

 体を張って人のために働きたいと話す小山内日向(ひなた)巡査(18)=板柳町出身=は「高校生の頃、自転車を盗まれて困っていた時、警察官が優しく対応してくれてうれしかった。県民にとって身近で頼れる警察官になりたい」と思いを語った。

 一人前の警察官になるべく学生たちは日々鍛え、学んでいる。使命感と誇りを持って励むその姿は、とても頼もしく見えた。

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