台湾で蒋介石の日記出版 帰属巡る係争決着、米から返還

蒋介石自筆の日記(台湾国史館提供・共同)

 【台北共同】毛沢東率いる共産党との内戦に敗れ台湾に逃れた国民党政権の最高指導者、蒋介石(1887~1975年)の日記が出版され、台北で31日、発表会が開かれた。日記の原本はこれまで米スタンフォード大フーバー研究所(カリフォルニア州)が保管していたが、帰属を巡る10年越しの係争が決着し、9月に台湾側に原本が返還されていた。

 原本を管理する総統府直属の「国史館」によると、日記は1917~72年まで蒋介石が手書きで記した。今回第1弾として出版されたのは48~54年分だが、2026年までに全てを書籍化する予定。

 台湾では独裁政権下での人権弾圧などを巡り、蒋介石の責任を問う声も根強い。国史館の陳儀深館長は発表会で「功績は功績、過ちは過ち」として客観的に歴史に向き合う重要性を強調した。

 第1弾には蒋介石が中国・成都から台北に逃れた1949年12月の日記が含まれる。台北到着直後の気持ちを「空気は軽やかで、環境は静かだ。成都の重苦しさと比べると天地の差がある」と記した。

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